研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究目的は、『遺伝要因』を父・母由来別のゲノム情報として分別し、生育過程における『環境要因』を介して学習行動において脳部位特異的にいかに表象されているかを遺伝子発現レベルで明らかにすることである。本研究では、種特異的な囀りパターンを学習によって獲得する鳴禽類ソングバードの異種間ハイブリッド個体を用い、音声発声学習過程における発声行動表現型(音声発達変化・学習戦略・固定化した発声パターン)に着目した研究を進めている。当該年度においては、以下の2点に関して研究が進捗している。I) 脳内発現遺伝子群の種特異的SNPsの抽出のためのRNA-seq:Zebra finchとOwl finch各5個体分の全脳mRNAを個体別にアダプターを付加し、Zebra finchとOwl finchでそれぞれ1レーン分のRNA-seqを実施した。II) Hybrid個体から脳部位特異的遺伝子発現情報を得るためのRNA-seq:Owl finch/Zebra finch hybrid個体(各5個体分)より発声学習・生成に重要な神経核であるHVC、RA部位から得たmRNA抽出・増幅したサンプルを、個体別にアダプターを付加し、神経核HVC、RAでそれぞれ1レーン分(計2レーン)のRNA-seqを実施。
1: 当初の計画以上に進展している
新学術領域ゲノム支援(東京大学 菅野・鈴木研究室)H25年度の支援を受け、次世代シークエンサーHiSeq2000によるトータル4レーン分のRNA-seqを実施でき、当初の計画より大幅なシークエンス情報を入手できた。
今後の研究の推進方策としては、1)当該年度で得られたDNAシークエンス情報をもとに、種特異的なSNP情報の抽出とハイブリッド個体の脳部位特異的に発現制御を受けている転写産物の対立遺伝子不均衡度の算出と行う。2)ハイブリッド個体の発声行動発達と学習に獲得した発声パターンの個体差に着眼し、遺伝要因と環境要因による発声学習・生成による影響を検証する。
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