研究課題
遺伝子発現制御機構は大きく転写制御と転写後制御機構(翻訳やタンパク質分解)に分けられる。今まで主に転写制御に焦点が当てられてきたため、翻訳制御についての解明は殆どなされていない。翻訳制御の中でも特に、mRNA のポリA 鎖長制御が遺伝子発現の基本的制御機構の一つとして注目を集めている。一般にmRNA のポリA 鎖長は、同一遺伝子由来でも不均一な分布をもち、その長さ(平均値と分散)を簡便にかつ厳密に決定できる方法は今のところない。そこで従来からある低効率かつ結果がばらつきがちなポリA 鎖決定法のAnchored RT-PCR 法を改良して、PACHINCO (Poly(A) Capture by Hairpin Chimeric Oligonucleotide)-RT-PCR 法を構築した。最も重要な改良は、オリゴdT 構造を含むRNA アンカーである一本鎖RNAを、ヘアピン型RNA-DNA キメラオリゴヌクレオチドにした点である。この採用により粘着末端が生成した結果、mRNA 3’末端連結高効率化と同時に非特異的なmRNA 3’末端連結抑制が図られ、特異的ポリA 末端捕捉効率を飛躍的に向上させることに成功した。さらに、この方法は原理上、遺伝子特異的5’PCR プライマーをヒトやマウスゲノム全遺伝子のmRNA 3’UTR に対応させるだけで、ヒトやマウス全mRNA ポリA 鎖長をハイスループットに決定できる。実際、全自動型DNA 分析用マイクロチップ電気泳動装置(Shimadzu 社)を用いたPACHINCO-RT-PCR 法で、Lark による哺乳類時計遺伝子Per1 mRNA のポリA 鎖伸長を、明快に確認することができた。さらに、スループット性をさらに高めるために本法をシークエンサに対応させることに成功した。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Elife
巻: 3 ページ: e03674
10.7554/eLife.03674