研究課題
最近臨床応用を目指した治験が行われているヒト間葉系幹細胞は、実際にはその実体が十分明らかになっておらず、その制御機構も未解明である。本研究では、iPS細胞を人工的に作り出した手法を利用して、ヒト間葉系幹細胞を人為的に作り上げる方法を検討することで、間葉系幹細胞のメカニズムについて知見を得ることを目的とした研究である。平成25年度に行った市販ヒト間葉系幹細胞用培地で培養し、老化を誘導した細胞ではなかなか実験条件の最適化が難しかったため、次年度の平成26年度はこれまで一般的に利用されてきた血清含有培地を用いてヒト間葉系幹細胞を長期間培養し老化させた細胞を利用し、増殖能の回復させる因子を特定するというアプローチで実験を行った。ある程度老化させた細胞集団にレンチウイルスcDNAライブラリーを感染させ、増殖能を回復させた細胞から挿入cDNAをゲートウェイ法により回収し、この過程を繰り返して最終的に回収されたクローンについてシークエンス解析した。しかしながら、多数の遺伝子が回収され十分な濃縮プロセスが行われていないことが明らかとなった。一方、最近、間葉系幹細胞から他の有用細胞を作製する技術の改良も進んできていることから、我々はヒト間葉系幹細胞から神経幹細胞を作り出す因子の検討も行ってみた。これまでに2種類の因子のノックダウンと数種の転写因子を候補として同定することができている。今後、これらの因子について検証することで間葉系幹細胞の利用技術についても貢献したい。
すべて 2015
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Stem Cells Transl Med.
巻: 4 ページ: 146-155
10.5966/sctm.2014-0181