研究課題
次世代シーケンサーを用いたDNAメチル化状態の網羅的解析により、さまざまな細胞におけるメチル化模様が明らかになってきている。これまでDNAメチル化を触媒する酵素は同定されているものの、どのようにメチル化模様を形成するのかわかっていない。私は、メチル化模様形成機構を明らかにする目的で、de novo型DNAメチル化酵素Dnmt3aと結合するタンパク質の網羅的解析を行った。その結果、Dnmt3aと結合する候補タンパク質として転写伸長因子Rpb1を同定した。本研究計画は、Rpb1とDnmt3aの結合様式を明らかにすることを目的にしている。これまでに、細胞内においてRpb1とDnmt3aが結合していることや転写が活性化されているAtp5b遺伝子上でDnmt3aが存在していることを明らかにした。最終年度は、Dnmt3a欠損ES細胞を用いて、Dnmt3aがAtp5b遺伝子内のメチル化模様形成に関与しているかについて調べた。その結果、Dnmt3a欠損ES細胞では、Atp5b遺伝子内のDNAメチル化レベルが約50%低下していることが明らかになった。また、Dnmt3a/Dnmt3b両欠損ES細胞では、Atp5b遺伝子内のDNAメチル化が消失していた。次に、Rpb1とDnmt3aの結合様式を調べる目的で、Rpb1遺伝子cDNAをサブクローニングして、発現ベクターに組み込み、293T細胞内でDnmt3aと結合するかを検討した。その結果、Rpb1とDnmt3と結合することを確認した。Rpb1とDnmt3aが直接結合するかを確認するために、リコンビナントRpb1の精製することを検討した。現在は、Rpb1 cDNAをバキュロウイルスに組み込み、昆虫細胞での発現を試みている。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
PLoS ONE
巻: 10 ページ: e0137509
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0137509