研究課題/領域番号 |
25650015
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 勲 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 特任教授 (70093052)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | X線結晶解析 / 創薬 / ゲル / リガンドソーキング / SBDD |
研究概要 |
Tetra-PEGゲルの骨格長,官能基,ゲル溶液濃度の最適な組み合わせを検討し,官能基については,「マレイミドとチオール」の組み合わせ,骨格長は,粘度とゲル強度から判断して,繰り返し数にして100が最適であると決定した.インクジェットによるゲルの吐出機構と,画像認識プログラム,XYZステージ,回転機構を連動させ,一つのシステムとして組み立てた.この装置は,結晶を自動観察しながらXYZステージで最適な位置に動かして,インクジェット技術を用いて結晶周りにゲル溶液を吹き付ける機能を持っている.結晶とマウント冶具の正確な位置にゲルを吐出するためには画像認識技術を用い,画像処理速度を高速化するためには,グラフィックボードを用いた並列性の高い演算処理を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲル化を促進する触媒を使うことによってゲル化速度を上げてゲル化前の溶液による結晶のダメージを抑え,グラフィクスボードを使った高速演算処理によって結晶の形を認識するソフトをつくり,ゲルを吹き付けるために結晶を空気中にさらす時間を10秒以内に抑るなど,さまざまな困難に対処して,予定通りの装置を組み立てることができた.
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今後の研究の推進方策 |
構築した結晶固定化装置を利用して実際にリガンドソーキング実験を実施する.汎用性を高めるためには,できるだけ多くの蛋白質結晶を使って検討する必要があるが,標準試料としては,結晶化条件が確立しているニワトリ卵白リゾチーム,ウシ膵臓トリプシンなどの利用を予定している.また,本研究室において過去に構造解析した蛋白質の中から適当なものを選んで利用する.リガンドソーキングを行った結晶については,SPring-8やPhoton Factoryなどの大型放射光施設で回折データを収集して構造解析を行い,実際にリガンドソーキングが可能であることを確認する.確認作業は可能な限り多くの蛋白質結晶において実施し,幅広い条件下で利用可能なシステムとなるよう調整を行う.それらの実験結果をまとめて論文として発表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
本システムの中心となるインクジェット装置は研究室既存のものを使い,また必要とされる電子回路は自作することによって,費用を抑えながら装置を作製することができた.また,テストとして使った結晶は,他の研究で使ったものが残っていたため,それらを使うことによってさらに費用を節約した. 作製した結晶固定化装置の汎用性を高めるためには,できるだけ多くの蛋白質結晶に適用してみる必要がある.したがって,平成26年度は,可能な限り多くの蛋白質結晶を使ってリガンドソーキング実験を実施する.予算の多くは,蛋白質精製のための試薬代として使用する.また,回折データの収集は,SPring-8やPhoton Factoryなどの大型放射光施設で行うので,そのための旅費が必要である.また,実験結果を学会発表するための旅費としても使用する.
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