研究課題
本研究では、結晶化の困難である膜タンパク質を、脂質の連続層中に再構成した状態で結晶化を行うin-meso結晶化と呼ばれる方法の技術開発を行った。通常、膜タンパク質の精製、結晶化の過程において、膜タンパク質は界面活性剤により可溶化された不安定な条件で行われることが多く、結晶化が困難であったが、、近年になってモノアシルグリセロールの形成する特殊な連続相を用いて、脂質中で膜タンパク質を結晶化させるLipidic Cubic Phase(LCP)法が、高分解能の結晶構造解析に有効であることが示されてきた。この方法では、膜タンパク質が脂質層に再構成された状態で結晶が成長するので、生理学的条件に近い条件のもとで結晶構造解析を行うことができるという利点に加えて、良質の結晶が得られる傾向があるため、GPCRを含めた多くの膜タンパク質において高分解能の構造解析が実現されてきた。本研究ではLCP法と、その発展形であるLSP法を併用して用いることで、結晶化条件の探索を比較的容易に行えるようにした。その結果、比較的幅広いターゲットに対してこれらの技術を適用することが可能となった。さらに、これらの方法によって得られた微結晶を用いて、SPring-8 32XUマイクロフォーカスビームラインにおける回折実験を行い、Ca2+/H+交換輸送体であるCAX、タイトジャンクション形成タンパクであるクローディンなどの高分解能での構造解析に成功した。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
Science
巻: 344 ページ: 304-307
10.1126/science.1248571
巻: 341 ページ: 168-172
10.1126/science.1239002