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2015 年度 実施状況報告書

哺乳類超巨大膜蛋白質発現系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 25650020
研究機関東京大学

研究代表者

小川 治夫  東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (40292726)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード大量発現 / 膜蛋白質 / アデノウィルス / 超巨大蛋白質
研究実績の概要

E4遺伝子が欠損した変異アデノウィルスの増幅には、E4遺伝子を何らかの形で細胞内で発現することが必須となる。だが、E4遺伝子が細胞に致死的なこともあり、通常の安定発現株等の樹立は困難であった。また、遺伝子の漏れ出しが少ないとされる発現誘導が可能な鑑定株の作成も試みたが、誘導無しで発現するE4遺伝子の量が想定以上に多く、失敗に終わった。そこで、一過的にE4遺伝子を大量に発現できる系の構築を行った。この系を用いて、GFP遺伝子を発現する変異アデノウィルスの作成には成功した。開発した系は、培養細胞に変異アデノウィルスとE4遺伝子とを同時に導入する必要があり、両者の導入のタイミングや、ウィルス量の検討等、解決すべき困難な問題も多かったが、現在では一応のプロトコルが定まった。そこで現在この系を用いて、IP3受容体が発現するかどうかの実証を行っている最中である。だが、現時点でもE4遺伝子の細胞致死性は看過できず、これが変異ウィルスの力価を弱くしていることは自明である。そこで、平成28年度ではこの問題の解決を図る予定である。一方、研究当初にはそもそも存在しなかったが、近年着目を集めている、哺乳類培養細胞に感染し、目的遺伝子を発現可能なバキュロウィルス発現系も立ち上がった。そこで、このバキュロウィルスを用いて、IP3受容体を発現する系の構築も目指しており、現在ウィルスを調整中の段階である。開発した変異アデノウィルス発現系との比較のためにも、両手法の比較は重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

E4遺伝子を一過的に発現する系の構築に当初の想定よりも時間がかかったが、一応のプロトコルも定まった。だが、E4遺伝子が想像以上に細胞に致死的であり、それがウィルスの力価を弱くしていることは明白であり、この解決を行う必要がある。一方、研究当初にはそもそも存在しなかった哺乳類培養細胞に感染可能なバキュロウィルス発現系も立ち上がり、このバキュロウィルスを用いた発現も追求する必要が生じた。そのため当初の研究計画よりは遅れているが、平成28年度の研究により、本研究を修了できると考えている。

今後の研究の推進方策

変異アデノウィルスを作成する際、細胞致死性のあるE4遺伝子を発現する最適のタイミングを見積もり、高い力価の変異ウィルスの作成を目指す。それとともに、本発現系でIP3受容体の発現を目指す。一方、研究当初にはそもそも存在しなかったが、近年着目を集めている、哺乳類培養細胞に感染し、目的遺伝子を発現可能なバキュロウィルス発現系を立ち上げた。そこで、このバキュロウィルスを用いて、IP3受容体を発現する系の構築も目指す。開発した変異アデノウィルス発現系との比較のためにも、両手法から得られた蛋白の比較を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度までの研究で、新規アデノウィルス発現系の構築にほぼ成功した。一方、研究開始当初には存在しなかったが、近年、哺乳類培養細胞に感染し、目的遺伝子を発現可能なバキュロウィルスの利用も可能となった。開発した変異アデノウィルス発現系との比較のためにも、上記バキュロウィルスでの超巨大分子の発現が必須であると考えている。これらの実験の実施のためにも1年間の補助事業期間の延長が必要であるため。

次年度使用額の使用計画

実験実施に必要な物品の購入や、旅費、並びに人件費等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Sequential substitution of K+ bound to Na+,K+-ATPase visualized by X-ray crystallography2015

    • 著者名/発表者名
      Ogawa, H., Cornelius, F., Hirata, A., Toyoshima, C.
    • 雑誌名

      Nat Commun.

      巻: 6 ページ: 8004

    • DOI

      10.1038/ncomms9004

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Functional analysis of SERCA1b, a highly expressed SERCA1 variant in myotonic dystrophy type 1 muscle2015

    • 著者名/発表者名
      Zhao, Y., Ogawa, H., Yonekura, S., Mitsuhashi, H., Mitsuhashi, S., Nishino, I., Toyoshima, C., Ishiura, S.
    • 雑誌名

      Biochim. Biophys. Acta.

      巻: 1852 ページ: 2042-2047

    • DOI

      10.1016/j.bbadis.2015.07.006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Biselyngbyasides, Cytotoxic Marine Macrolides, are Novel and Potent Inhibitors of the Ca2+ Pumps with a Unique Mode of Binding2015

    • 著者名/発表者名
      Morita, M., Ogawa, H., Ohno, O., Yamori, T., Suenaga, K., Toyoshima, C.
    • 雑誌名

      FEBS Lett.

      巻: 589 ページ: 1406-1411

    • DOI

      10.1016/j.febslet.2015.04.056

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Stimulation, inhibition, or stabilization of Na,K-ATPase caused by specific lipid interactions at distinct sites.2015

    • 著者名/発表者名
      Habek, M., Haviv, H., Katz, A., Kapri-Pardes, E., Ayciries, S., Ogawa, H., Toyoshima, C., Karlish, S.J.
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: 589 ページ: 1406-1411

    • DOI

      10.1074/jbc.M114.611384

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] ナトリウムポンプ蛋白質がナトリウムを選択的に運搬する機構 - How the Na+-pump recognizes and transports Na+ selectively.2015

    • 著者名/発表者名
      小川治夫, 金井隆太, 豊島近
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 254 ページ: 1186-1187

  • [学会発表] Kinetics by X-ray crystallography:sequential substitution of K+ bound to Na+,K+-ATPase2016

    • 著者名/発表者名
      Haruo Ogawa, Flemming Cornelius,Ayami Hirata, Chikashi Toyoshima
    • 学会等名
      Biophysical Society 60th annual meeting
    • 発表場所
      Los Angeles Convention center, Los Angeles, California (USA)
    • 年月日
      2016-02-27 – 2016-03-02
    • 国際学会
  • [学会発表] X線結晶構造解析によるキネティックス測定:Na+,K+-ATPaseに結合したK+は段階的に置換される2015

    • 著者名/発表者名
      小川治夫, 平田絢美, Flemming Cornelius, 豊島近
    • 学会等名
      日本生体エネルギー研究会 第41回討論会
    • 発表場所
      東京大学医学部1号館講堂(東京都・文京区)
    • 年月日
      2015-12-21 – 2015-12-23
  • [学会発表] Kinetics by X-ray crystallography: sequential substitution of K+ bound to Na+,K+-ATPase.2015

    • 著者名/発表者名
      Haruo Ogawa, Flemming Cornelius,Ayami Hirata, Chikashi Toyoshima
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会 第88回日本生化学会合同大会)ワークショップ
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(兵庫県・神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
    • 招待講演
  • [学会発表] Sequential substitution of bound K+ in the transmembrane binding sites of Na+,K+-ATPase, kinetics by X-ray crystallography.2015

    • 著者名/発表者名
      Haruo Ogawa, Flemming Cornelius,Ayami Hirata, Chikashi Toyoshima
    • 学会等名
      日本生物物理学会第53回年会シンポジウム
    • 発表場所
      金沢大学 角間キャンパス自然科学本館(石川県・金沢市)
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-15
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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