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2013 年度 実施状況報告書

リボヌクレオチド除去修復におけるRNase H2の機能

研究課題

研究課題/領域番号 25650028
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関筑波大学

研究代表者

柏原 真一  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00254318)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードリボヌクレオチド除去修復 / ゲノム安定性 / RNase H2
研究概要

申請者は、二本鎖DNA中に存在するモノリボヌクレオチド(rNMP)を認識・切断するRNase H2複合体の活性サブユニットであるRNase H2Aを欠損するマウスを作製した。本欠損マウスは、胎生10.5日頃に致死となるが、その原因は長らく不明であった。予備的解析の結果、その染色体ゲノム中にはrNMPが多数存在する可能性が示された。本研究では、RNase H2がDNA複製に際してのリボヌクレオチド除去修復に関与していることを明確にし、さらにその機構を明らかにすることにより、新規の「ゲノム監視機構」を提唱することを目的とした。25年度においては、以下の点を明らかにした。
①RNase H2A欠損マウス胚においては、Cyclin G1、p21、およびTrp53inp1などのDNA損傷応答遺伝子群の発現上昇が認められた。
②DNA複製が行われない心筋細胞をRNase H2A欠損胚より調製・培養したところ、3週間以上拍動が継続した。このことは、RNase H2は細胞増殖には不可欠であるが、生存そのものには必須でないことを示唆している。
③RNase H2A欠損マウス胚では、BおよびCサブユニットの量が著しく減少していた。したがって、3量体構造の形成は活性発現のみならず安定性維持にも不可欠であることが明らかとなった。
④染色体DNAとは異なり、ミトコンドリアDNA(mtDNA)中には多くのrNMPsが存在する。したがって、RNase H2の欠損はmtDNAの複製には影響しないことが予想された。実際、mtDNAにコードされるCOX IやCOX IIを指標にして、ゲノムPCR、 RT-PCR、 およびウェスタンブロット解析を行った結果、欠損マウス胚においても野生型と同レベルの存在が確認された。さらに、MitoTrackerを用いた染色や電子顕微鏡観察でも、ミトコンドリアに明確な異常は認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年度当初の交付申請書では、組換え型RNase H2A, B, Cサブユニットを調製し、これらを用いて欠損マウス胚ゲノムの切断を確認する予定であったが、各サブユニットの発現を確認した段階である。また、RNase H2ノックダウン細胞を用いた細胞増殖への影響評価が未遂行である。

今後の研究の推進方策

25年度未遂行の実験計画を行うとともに、26年度に予定していた下記の項目に着手する。
①DNA修復・複製関連因子との相互作用解析・・・RNase H2A欠損による胚発生の停止は、DNA修復・複製不全が原因であることが25年度に明らかとなった。したがって、PCNAやFEN1およびDNAポリメラーゼなどの修復・複製関連タンパク質の減少を伴っている可能性があるので、これら関連因子の存在量を調べる。また、RNase H2は合成二本鎖DNA中のモノリボヌクレオチドの5’ホスホジエステル結合を切断するのみであり除去することはできない。さらに、RNase H2A, B, Cのいずれのサブユニットにも明確な核移行シグナルは存在しないことから、複製フォーカスにおいて機能するためにはなんらかの修復・複製関連因子と相互作用する必要があると考えられる。免疫沈降法とPMF解析により協働因子の同定を試みる。
②Aicardi-Goutieres症候群との関連・・・RNase H2のA, B, C各サブユニットの遺伝子変異は、いずれも核酸代謝異常症の一種であるAicardi-Goutieres症候群(AGS)を引き起こす。これまで報告されているAGSを引き起こすRNase H2の変異の多くは、ほとんど酵素活性に影響しない。事実、RNase H2Aヘテロ欠損マウスではヒトに見られるような皮膚の炎症は認められない。したがって、AGSはRNase H2の変異によってその相互作用因子が影響を受け、二次的な結果として発症することが考えられる。研究計画①の相互作用因子の結果を踏まえながら解析を行い、発症メカニズムの解明につなげていく。

次年度の研究費の使用計画

RNase H2A, B, C各サブユニットのノックダウン実験を行わなかったため、siRNAなどの関連試薬を購入しなかった。また、各サブユニットの組換え体作製についても、精製までには至らなかったため、精製に必要な試薬を購入しなかった。これらの理由により、次年度使用額が生じた。
次年度使用額相当分は、26年度上記実験において使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 半数体特異的mRNAの翻訳と脱アデニル化との関連

    • 著者名/発表者名
      岡田渓太郎、柏原真一、三枝彩佳、馬場 忠
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸国際会議場

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公開日: 2015-05-28  

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