リボヌクレアーゼH2(RNase H2)は、二本鎖DNA中に存在するモノリボヌクレオチド (rNMP)を認識・切断するRNA分解酵素である。RNase H2を欠損したマウスの胚ゲノム中には多数のrNMPが存在し、また、Cyclin G1やp21などのDNA損傷応答遺伝子群の発現が上昇していた。さらに、本酵素は正常な染色体DNA複製を介した細胞増殖には不可欠ではあるが、細胞の生存そのものには必須でないことが示された。以上の結果より、RNase H2複合体は複製に際して誤って取り込まれたrNMPの除去修復というゲノム監視機構を介して、正常なDNA複製と細胞増殖に必須であることが判明した。
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