| 研究課題/領域番号 |
25650042
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| 研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
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研究代表者 |
石井 則行 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (10261174)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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| キーワード | 培養細胞株 / ナノ粒子 / 細胞応答 / 抗原抗体反応 / ハプテン / 抗体 / Ｂ細胞 / 抗原 |
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| 研究実績の概要 |
単独では抗原性のない比較的低分子量の物質であるハプテンに、金ナノ微粒子（～数nm）を担体（キャリア）として結合させると、生体内（ウサギ）で免疫応答が増進すること、すなわち、金ナノ微粒子が抗ハプテン抗体産生キャリアとして機能することを見出している。微粒子の大きさがナノスケールであったことが、生体内で適当な時間（期間）滞留することを可能とし、局所的にハプテン濃度が適度に高められ、in vivoで免疫システムを刺激し得たことが本現象発現に繋がったと考えられる。本研究では、この仮説を細胞・分子レベルで検証し、メカニズムの解明を目指している。
平成26年度の研究成果の概要は以下の通りである。1）先にハプテンとして用いたアゾベンゼン誘導体は比較的疎水性が強かったので、培養Ｂ細胞を含む培養液中で凝集せずに単分散状態で細胞と相互作用するためには、最外殻が親水性のアゾベンゼンモティーフで被覆された金ナノ微粒子を調製する必要がある。アゾベンゼンに詳しい研究者の協力を得て、最外殻が親水性となるアゾベンゼン誘導体を合成し、精製することができた。この親水性のアゾベンゼンで被覆された金ナノ微粒子の調製を進めている。2）新たに細胞培養実験室を整備し、細胞バンクから分譲・購入したニワトリ由来培養Ｂ細胞（DT-40）を使って、増殖・継代培養を行い、培養条件、生化学実験条件の検討、最適化を進めた。培地上清に放出される分泌物の回収方法について検討した。哺乳類由来の培養免疫細胞の系で実施できるように準備を進めている。3）ナノ微粒子表面に高密度に固定化されたハプテン様低分子化合物と培養免疫細胞との直接の相互作用の観察・生化学分析が主題であるので、免疫原性を兼ね備えた他の低分子化合物、担体として用いることが可能な粒径の異なるナノ微粒子の調製、ならびに滅菌操作手法の改良等を併行して進めている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記述したように、平成26年度は、①ハプテンとして知られ、先の抗体産生実験において金ナノ微粒子をキャリアとして伴うことにより高い免疫原性を帯びることが示されたアゾベンゼンモティーフについて、最外殻が親水性のアゾベンゼン誘導体を合成し、精製することができた。この親水性のアゾベンゼンで被覆された金ナノ微粒子の調製を進めている。②培養Ｂ細胞を扱う細胞培養実験室を整備できた。③免疫応答を測定可能な生化学実験環境の構築、高精度の分析を可能とする技術導入を進めた。また、④免疫原性を備えた低分子化合物、ならびに、⑤キャリアとして用いる粒径の異なるナノ微粒子の調製、滅菌手法の改良等を進めている。「研究の目的」の達成は、今後の研究の推進方策により十分可能であるので、現在の達成度について「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成26年度に得られたデータを精査し、克服すべき課題と解決策を検討して、引き続き、本研究の目的を早期に達成できるように取り組む。培養Ｂ細胞の培地組成や継代のタイミングによって、増殖等に斑が見られたため、再現性等で不十分であった以下の項目について、優先して実施する。
今後の推進方策については以下のように予定している。①培養Ｂ細胞の血清含有、血清非含有条件での培養条件等の検討、②タイプの異なるハプテン様低分子化合物を提示するように設計したナノ微粒子の調製、滅菌操作手法の改良、③ ②を用いての直接、培養Ｂ細胞への免疫応答実験、④回収した血清非含有培地上清に目的の特異抗体が産生されているかの生化学検定、⑤培養Ｂ細胞と免疫原性をもったナノ微粒子との相互作用の電子顕微鏡法等によるイメージング。以上、早期に抗体産生キャリアとしてのナノ微粒子の免疫原性提示メカニズムに関する我々の仮説を検証する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
所属研究機関の会計、物品調達ルールを遵守し、一般競争入札を経て、最廉価での納品に心掛けたところが大きいと考える。研究遂行に必要な理化器具、消耗品類の調達請求にあたっては、可能な限り、複数メーカーから試供品等を入手し現物を確認した上で、同等レベルの物品については、性能・仕様等を詳細に比較し、低価格帯での選択に努めた。細胞培養実験に必要な血清や血清非含有培地等の試薬類を購入する際は、当方が要求する性能、機能等で同等レベルの製品であれば、内外の製品を問わず、一般競争入札によって、最廉価での調達に努めたからと考える。
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| 次年度使用額の使用計画 |
試薬類、特に血清培地は、その品質が価格と比例関係にあり、時として、実験結果を大きく左右することがあるので、調達請求の際には十分注意しなければならない。今後も、研究目的の早期達成に最大限の努力を払いつつ、可能な限り効率良く節約に努めながら適切に予算消化していく。
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