研究課題/領域番号 |
25650045
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多田隈 尚史 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (10339707)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 1分子計測(SMD) / 核酸 / 蛋白質 / 分子機械 / マイクロ・ナノデバイス |
研究概要 |
手のひらにのるような、検査・治療機器を作成するためには、非常に小型の検出・診断・合成装置が必要であり、DNAの2次元ナノ構造物(DNA-tile)上に多数の蛋白質分子を固定した"DNA-蛋白質ハイブリッドナノシステム"を構築し観察を行った。本年度は、T7-RNAポリメラーゼ(T7-RNA polymerase、以下RNAP)蛋白質をモデル蛋白質として用い、主に、ナノ反応場の設計とナノ反応場における蛋白質活性の特質を明らかにする事に注力した。具体的には、DNA-tile上にRNAPと、(RNAPが転写する)遺伝子を集積化し(以下Gene-chip)、出来たGene-chipをゲル電気泳動法や原子力間顕微鏡(AFM)で確認した後、活性を溶液反応系で測定した。その結果、Gene-chipには小型反応系構築に都合の良い性質が備わっている事が明らかになった。1つ目は、合理設計性であり、DNA-tile上のRNAPと遺伝子の距離を制御する事で、転写活性を設計できる事が明らかになった。2つ目は、直交性であり、自身の内部遺伝子は高効率に転写する一方、溶液中を漂う外部遺伝子はあまり転写しないという性質が明らかになった。また、これらの性質を利用して、無細胞翻訳系PURE systemにおいて、2つの遺伝子の発現量を合理的に設計可能である事を示した。これらの結果は、従来は経験則的に反応設計が行われてきた転写活性を工学的なアプローチで反応設計が可能な事を示しており、DNA-蛋白質ハイブリッドナノシステムを用いたナノメートル精度での生体分子の空間配置制御が、生物化学反応の制御にる事の有用性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、DNAナノ構造上に様々な種類の蛋白質を結合させたナノシステムを構築し、非常に小型の反応系構築を目標としている。初年度は、機能モジュールの構築と活性評価が進み、ナノシステムには、小型反応系構築に有利な性質が備わっている事が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
3つの方向で研究を進める。1つは、多機能化を目指して、様々な生体分子の集積化を試みる。2つ目は高性能化を目指して、集積化する酵素の数を増やし、chipあたりの活性の向上を目指す。3つ目は、半導体加工技術との組合せを目指す。いずれの方向性に関しても、ナノシステムの特徴である、ナノメートル精度での分子配置、という性質を生かし、蛋白質相互作用における分子間距離の影響の評価や、逆に距離制御による反応制御に注力する。
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次年度の研究費の使用計画 |
やわらかいナノデバイスに自律性を付与する為の分子スイッチであるが、予備実験の結果、より詳細に検討する必要がある事が判明したため、翌年度で詳細に検討する事とした。 合成DNA等の物品費として使用する予定である。
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