研究課題/領域番号 |
25650056
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 公益財団法人サントリー生命科学財団 |
研究代表者 |
菅瀬 謙治 公益財団法人サントリー生命科学財団, その他部局等, 主席研究員 (00300822)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | in-cell NMR / 高速NMR法 / 揺らぎ |
研究概要 |
まずは高速in-cell NMR測定のために、計画通りに水とアミドプロトンの交換速度を決定できるCLEANEX-PMの改良を行った。短い測定待ち時間で発生するアーティファクトを除去するためにパルスプログラムの修正、および1回の測定で2回データを取り込むdouble acquisition法を組み込んだ。しかしながら、この2つの改良を持ってしても感度が必要十分ではなかったため、CLEANEX-PMで高速in-cell NMR測定を行うことを断念した。より単純なパルスプログラムが必要であると判断して、fast HSQCの始めに水を選択的に飽和させるpresaturationを組み込んだ。この測定では水と交換しやすい(揺らいでいる)残基を特定できる。またfast HSQCは複数あるHSQCの中でも比較的に高速に測定できるバージョンである。実際にin vitroの測定で試してみたところ、CLEANEX-PMシグナルが観測される残基のシグナルが選択的に減衰していた。しかもCLEANEX-PMよりも非常に感度良くシグナルを観測することができた。このパルスプログラムに、2次元NMRデータを間引いて測定する非線形サンプリング法を組み合わせて、まずはGB1のin-cell NMR測定を行ったところ、presaturationのありなしでシグナル強度の変化が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定ではCLEANEX-PMをベースにして開発を進める予定であったが、別のパルスプログラムで当初の昨年度の予定は達せされたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
まずはpresaturationつきfast HSQCにdouble acquisition法を組みこむことによって更なる感度の向上を目指す。また非線形サンプリング法で取得したNMRデータを再構築するにはSIFT法と呼ばれる計算法を用いているが、現在のアルゴリズムではデータを多く間引くと再構築されたNMRデータの質が悪い問題がある。他の似通った手法では強度の高いシグナルから再構築すると良いことが報告されているため同様なアルゴリズムを組み込む。そして、これらの手法を用いて実際のSox2のin-cell NMR測定を行う。
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