研究課題/領域番号 |
25650058
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
寺薗 英之 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30398143)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経ネットワーク / バイオテクノロジー / ナノバイオ / 生物物理 / 脳・神経 / 細胞回収 / アプタマー |
研究概要 |
初代神経細胞を用い、一細胞毎に伝達方向・細胞の種類を制御した人工的神経細胞回路を構築することで従来の分散培養や脳スライスカルチャーでは複雑すぎて理解できなった神経のネットワークレベルでの基本動作原理、記憶形成機構、情報処理機構の解明を目的としている。 本年度は、様々な種類の細胞が存在する初代培養から特定の神経細胞のみを回収して人工神経ネットワークを構築する事を目的として、神経細胞表面特異的結合性アプタマーを作製することを目標とした。アプタマーは抗体と異なり、DNA分解酵素により分解できるため、細胞標識しても脱標識が簡便に出来るという意味で抗体とはまた別の利点をもつ。この利点を利用する事により、一度回収した神経細胞を回収の影響のないまま神経ネットワークを構築し、機能解析することを目標にしている。アプタマーの作製方法として、SELEX法と呼ばれる単鎖DNAから神経細胞、特に細胞表面に結合性のDNA配列を精製するCell-SELEX法に独自の技術を組み込むことに開発を行った。さらに最終的に回収したDNAを次世代シーケンサーで読み取らせることで、回収してきたDNA配列を網羅的に解析した。 通常、大腸菌を用いたサブクローニング法では一度に数十個程度の遺伝子配列しか解析する事が出来ないが、次世代シークエンス法を用いることで莫大な量の解析結果を得ることができ、得られた配列には特徴的にクラスタリングできる事がわかった。さらに、バイオインフォマティクス技術を用いてクラスターを解析する事により、特徴的な配列を絞り込むことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の目標として、初代神経細胞を用いた細胞表面特異的DNAアプタマーの回収技術の開発を目指した。その結果、通常のSELEX法に改変を加える事で、神経細胞表面に結合性のDNAアプタマー配列候補を次世代シークエンスを用いて解析する事に成功した。 当初予定している計画通りに進んでいる。改変SELEX法には改良の余地もあるが、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、今年度は前年度得られた神経細胞表面特異的結合性アプタマー配列候補の中から適切なものを選び細胞回収の検討を引き続き進める。 また、計画書に記載内容の「形態学的・電気生理学的な特徴を同定した一細胞回収技術の開発」も順次進める。その中では、海馬初代神経細胞を形態学的・細胞外電位を指標とした一細胞毎回収・再配置する技術の開発を行う。方法として、細胞外電位を多チャンネルで記録できるチップ上にアルギン酸処理を行うことで解決を試みる。アルギン酸による細胞の形態を指標とした一細胞回収・配置技術には成功し論文化もされている。課題としては、アルギン酸の厚さによりアルギン酸層下部にある電位計測用の電極で計測できるか、困難な課題が存在する下もしれない。その際はアルギン酸層の厚さを変えることにより、機能を損なわずに電位計測が出来る条件を検討する。
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