研究課題/領域番号 |
25650064
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武田 修一 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (50509081)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アクチン / アクチンダイナミックス / アクチンキャッピングタンパク質 / X線結晶構造解析 / 細胞運動 |
研究実績の概要 |
細胞運動はアクチン重合を駆動力とするが、細胞内の重合可能なアクチンプールは限られているため、運動の持続には伸長済みアクチン繊維を効率的に再利用する仕組みが必要である。アクチン繊維の伸長端に強固に結合することで、そこでの重合・脱重合を止める、アクチンキャッピングタンパク質(CP)は細胞運動の重要な制御因子である。 Twinfilinはアクチン繊維切断活性、及び脱重合促進活性を持つcofilin様のドメインを二つ持つタンパク質である。これまでに、twinfilinは、(1)アクチン単量体と結合する(2)アクチン繊維側部とは相互作用せず、アクチン繊維の切断・脱重合促進活性は持たない(3)アクチン繊維伸長端に結合する(4)CPと結合するがその伸長端結合能には影響を与えない、ことがわかっていたものの、アクチンダイナミックス制御における役割はよくわかっていなかった。本研究では、CPとtwinfilin複合体のX線結晶構造を決定することに成功した。驚くべきことに、twinfilinはCP伸長端結合活性阻害因子として知られているCARMILの結合部位と一部重なる部位に結合する事が明らかとなった。この相互作用様式から予想されるように、twinfilinはCARMILとCPに対する結合を競合する事が判明した。これらの結果は、twinfilinがCARMILと共にCPの伸長端結合活性を調節することで、細胞内アクチンダイナミックスの重要な制御因子として働いていることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに、X線結晶構造解析によるCP/twinfilin複合体の構造決定には成功しているが、生化学実験によるアクチン繊維ターンオーバー機構の解析が当初の計画に比べて遅れている。これは主に実験系の立ち上げに時間がかかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
実験系の準備は整ったため、今後は構造情報に基づいた生化学実験を行い、twinfilinがCPを介したアクチンダイナミックス制御に果たす役割を検討する。得られた成果は、論文、学会、ホームページ等で公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
生化学実験の実験系の立ち上げに当初の計画より時間がかかったため、予定していた実験ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
生化学実験に必要な試薬の購入、及び論文、学会等での成果発表に用いる。
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