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2014 年度 実績報告書

微小管プラス端集積因子(+TIPs)依存的な新規物質輸送機構の探索

研究課題

研究課題/領域番号 25650071
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

清末 優子  独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究 センター, ユニットリーダー (90568403)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード細胞骨格 / 微小管 / 細胞内輸送 / 細胞分裂
研究実績の概要

本研究課題の目的は、細胞内交通インフラ微小管細胞骨格が担う、生命活動の秩序を形成する新たなメカニズムを発見することである。本研究者は、物質輸送のレールである微小管を正しく配置することは細胞秩序形成の初期事象であり、これを制御する分子機能が存在するはずであると考え、これまでの研究でその役割を担う分子群“微小管プラス端集積因子(+TIPs)”を見出してきた。+TIPsに含まれるEB1、CLASPやAPC癌抑制因子等の分子は、微小管先端で複合体形成してプラス端を細胞表層につなぎとめる。本研究課題では、このプラットホームが荷物の積み下ろしや選別に重要な役割を果たしていると仮定し、+TIPs依存的な分泌因子の探索とその機能解明を培養細胞系とマウスを用いて行った。発生や病態の制御に重要な因子が特定できれば、治療や創薬の標的となり得る新しい輸送経路が発見されることになる。
まず、EB1、APC、およびCLASPを細胞表層に結合させるLL5等の発現を抑制した細胞を樹立し、培地中の分泌因子を解析した。また、+TIPsに変異を持つマウスの表現解析を並行して行った。
最近発見されたLL5α遺伝子に変異を持ち白内障を呈する自然発症マウスでは、LL5αC末端のPH領域が破壊されて不安定化し、組織内でLL5αはほとんど検出されなかった。LL5ノックダウン培養細胞では、アポリポタンパク質のひとつの分泌が減少していたが、LL5α変異マウス脳内でそのプロセシングが変化し、また脂肪負荷試験において体重増加しやすい傾向が見られた。
非発癌性のAPC変異マウスでは多様な発生障害がみられた。細胞分裂における微小管の被輸送物質は染色体であるが、その制御異常が発生障害を引き起こしていると考えられた。APC変異細胞を用いた解析により、APCによる細胞分裂のマスターキナーゼの新たな制御機構を発見した。
以上の結果から、+TIPsが関与する物質輸送制御の、発生や疾患における重要な関与が確認された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 3D革命 ― 生命活動の真の姿を照らし出す次世代蛍光顕微鏡技術2015

    • 著者名/発表者名
      下澤東吾, 清末優子
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 33 ページ: 458-461

  • [雑誌論文] 2014年ノーベル化学賞:超解像顕微鏡の開発2014

    • 著者名/発表者名
      藤田克昌, 岡田康志, 清末優子
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 32 ページ: 3071-3076

  • [雑誌論文] Lattice Light Sheet Microscopy: Imaging Molecules, Cells, and Embryos at High Spatiotemporal Resolution2014

    • 著者名/発表者名
      Chen BC, Legant WR, Wang K, Shao L, Milkie DE, Davidson MW, Janetopoulos C, Wu XS, Hammer JA 3rd, Liu Z, English BP, Mimori-Kiyosue Y, Romero DP, Ritter AT, Lippincott-Schwartz J, Fritz-Laylin L, Mullins RD, Mitchell DM, Bembenek JN, Reymann AC, Bohme R, Grill SW, Wang JT, Seydoux G, Tulu US, Kiehart DP, Betzig E.
    • 雑誌名

      Science

      巻: 346 ページ: 1257998

    • DOI

      10.1126/science.1257998

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 生体試料深部の高速・高精細な 蛍光イメージング装置の開発と応用2014

    • 著者名/発表者名
      下澤東吾, 清末優子
    • 雑誌名

      バイオインダストリー

      巻: 7月号 ページ: 43-50

  • [学会発表] Toward high-speed high-resolution 3D imaging2015

    • 著者名/発表者名
      清末優子
    • 学会等名
      第120回日本解剖学会 / 第92回日本生理学会 合同大会
    • 発表場所
      神戸コンベンションセンター(神戸)
    • 年月日
      2015-03-23
    • 招待講演
  • [学会発表] PHLDB1/LL5αのPHドメインの部分欠損はマウスの水晶体脱臼白内障を引き起こす2014

    • 著者名/発表者名
      渡部 桂, 和田 健太, 松島 芳文, 設楽 浩志, 清末 優子, 吉川 欣亮
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜)
    • 年月日
      2014-11-27
  • [学会発表] 高速高精細3Dイメージングへのチャレンジ2014

    • 著者名/発表者名
      下澤東吾, 清末優子
    • 学会等名
      第66回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      奈良県新公会堂(奈良)
    • 年月日
      2014-06-13
    • 招待講演
  • [学会発表] Challenges toward High-Speed, High-Resolution 3D Imaging2014

    • 著者名/発表者名
      下澤東吾, 清末優子
    • 学会等名
      日本顕微鏡学会第70回記念学術講演会
    • 発表場所
      幕張メッセ 国際会議場(千葉)
    • 年月日
      2014-05-13
    • 招待講演
  • [備考] 所属研究機関ラボHP

    • URL

      http://www.clst.riken.jp/ja/science/labs/bdi/biosys/cda/

  • [備考] 格子光シート顕微鏡が明かす細胞分裂の仕組み-生命活動の真の姿を照らし出す新たな蛍光顕微鏡-

    • URL

      http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20141029_1/

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公開日: 2016-06-01  

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