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2013 年度 実施状況報告書

究極の細胞核再構成系の構築を目指した生細胞内における人工核創製の試み

研究課題

研究課題/領域番号 25650073
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関独立行政法人情報通信研究機構

研究代表者

小林 昇平  独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所バイオICT研究室, 主任研究員 (40425765)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード人工細胞核 / 核膜 / ビーズ
研究概要

本研究は、生きたヒト培養細胞内に生体分子結合ビーズを導入し、それを種として細胞内に「人工細胞核」を創製することを目指すものである。通常、ヒト細胞では細胞分裂期に核膜の崩壊および再形成というダイナミックな膜構造変化が起こる。そこで、初年度であるH25年度には、様々な生体分子結合ビーズをHeLa細胞内に導入した後、分裂期を経た細胞を主な対象として、ビーズ周囲における核膜形成の有無を解析した。まず、直鎖状二本鎖DNAを結合させたビーズ(直径2.8 μm)を細胞に導入し、生細胞蛍光・電子相関顕微鏡法(live CLEM)および免疫染色法等によって解析したところ、DNAには、核膜によく似た膜構造(人工核膜)を形成させる能力があることが分かった。そのメカニズムを検討し、DNAにDNA結合タンパク質barrier-to-autointegration factor (BAF)が結合し、さらにBAFに核膜タンパク質emerinが結合するためであることが分かった。しかし、この人工核膜には核膜孔複合体が見られなかったことから、DNAは、少なくともHeLa細胞においては、完全な機能を持つ核膜を形成するのに不十分であることが分かった。さらに、タンパク質であるRanGTPaseおよびImportin betaを結合させたビーズを検討したところ、それぞれのタンパク質を結合したビーズ周囲に核膜孔複合体と思われる構造体を有する核膜構造が観察された。
以上の結果から、生体分子結合ビーズをヒト培養細胞に導入することにより、様々な性状の核膜構造をビーズ周囲に人為的に形成させ、その過程を詳細に解析できる実験系の構築に成功したと結論した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

生体分子結合ビーズの種類や顕微鏡法による観察の時期等の実験条件を複数検討して解析を行い、実際に生細胞内でビーズ周囲に核膜が形成される条件を見いだせたことは、当初の計画通りである。

今後の研究の推進方策

各種生体分子を結合させたビーズの周囲に形成される核膜構造(人工核膜)の機能評価を行う。具体的には、人工核膜内外での物質輸送の選択性について、核移行シグナル配列を付与した蛍光標識タンパク質が人工核膜の内側(ビーズ表面側)に顕著に蓄積するかどうかを指標にして調べる。また、人工核膜が持つバリア機能について、どのような分子量までの蛍光標識デキストランが単純拡散によりビーズ表面にアクセスし得るかを指標にして調べる。また、これらと並行して、各実験条件での人工核膜の形成メカニズムについて、顕微鏡法等を用いた解析を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Recruitment of the autophagic machinery upstream of LC3 is mediated by ubiquitin on host endosomal membranes during infection-induced autophagy.2013

    • 著者名/発表者名
      Fujita, N., Morita, E., Itoh, T., Tanaka, A., Nakaoka, M., Osada, Y., Umemoto, T., Saitoh, T., Nakatogawa, H., Kobayashi, S., Haraguchi, T., Guan, J.L., Saito, K., Ishibashi, K., Akira, S., Fukuda, M., Noda, T.
    • 雑誌名

      J. Cell Biol.

      巻: 203 ページ: 115-128

    • DOI

      doi: 10.1083/jcb.201304188.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Artificial induction of organelle formation in a living cell.2013

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, S.
    • 雑誌名

      Journal of the NICT

      巻: 60 ページ: 41-44

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 細胞内小器官の改変、人工小器官の作成技術.2013

    • 著者名/発表者名
      小林昇平
    • 雑誌名

      NICT季報

      巻: 59 ページ: 37-40

    • 査読あり
  • [学会発表] 核膜形成に対するクロマチン-核膜タンパク質相互作用の役割.2013

    • 著者名/発表者名
      原口徳子、小林昇平、荒神尚子、小坂田裕子、糀谷知子、森 知栄、平岡 泰.
    • 学会等名
      第36回分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県)
    • 年月日
      20131205-20131205
    • 招待講演
  • [学会発表] BAF依存的な核膜集合は外来DNAへのオートファジー集合を回避する.2013

    • 著者名/発表者名
      小林昇平、糀谷知子、小坂田裕子、森 知栄、荒神尚子、平岡 泰、原口徳子.
    • 学会等名
      第36回分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県)
    • 年月日
      20131203-20131203
  • [学会発表] BAF依存的なDNAビーズのオートファジー回避.2013

    • 著者名/発表者名
      小林昇平、糀谷知子、小坂田裕子、森 知栄、荒神尚子、平岡 泰、原口徳子.
    • 学会等名
      若手イメージング研究会
    • 発表場所
      東京理科大学(千葉県)
    • 年月日
      20130907-20130908

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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