研究課題
挑戦的萌芽研究
プログラム細胞死は、多細胞生物において形態形成や組織の恒常性維持などに関わっている。近年、我々を含む一部の研究者は、アポトーシスはプログラム細胞死の一機構に過ぎないことを強く提唱し始めている。本研究では、我々が確立した非アポトーシス型細胞死のin vivoイメージング法と種々のノックアウトマウスを用いて、これまで網羅的・定量的解析が可能でなかったマウスの個体内での非アポ トーシス型細胞死機構の役割について解析を行い、プログラム細胞死の真の理解に向け、細胞死研究の新たな展開を牽引することを目的とした。独自に立ち上げた非アポトーシス型細胞死を可視化する技術(蛍光色素PIを利用)とアポトーシスを可視化できるアクリジンオレンジを用い、野生型マウスの個体発生期(E9.5~E16.5)のプログラム細胞死の時空間的観察を行った。これらPI陽性死細胞の発生機序を知るために、アポトーシス因子欠損マウス(Bax/BakダブルKOマウスおよびCaspase-9 KOマウス)で同様の観察を行った結果、アポトーシス因子欠損により消失するPI陽性死細胞と消失しない死細胞が存在することが判明した。後者は、非アポトーシス型プログラム細胞死機構が関与する系と考えられた。特に骨形成領域に観察されたプログラム細胞死は電子顕微鏡観察においても、非アポトーシス型細胞死の形態を示しており、平成26年度は、この細胞死系のより詳細な解析を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
in vivoイメージング法とアポトーシス機能を欠損した複数種類のノックアウトマウスを利用し、また電子顕微鏡観察を併用することで、マウスの個体発生期において非アポトーシス型プログラム細胞死が起こっていることを確証し、詳細な解析の基盤を形成することが出来た。
特に骨形成領域で起こっている非アポトーシス型プログラム細胞死に焦点を合わせ、詳細な解析を行う。特にこの細胞死に関与する因子の同定が鍵となるが、予備的な成果として、オートファジーに関与するATG9a遺伝子を欠損したマウスでは、in vivoイメージングでこのプログラム細胞死が消失していることが示されており、ATG9aが非アポトーシス型プログラム細胞死関与因子の有力候補であり、オートファジーとの関連においても詳細な解析を行う。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Am. J. Pathol.
巻: 183 ページ: 1936-1944
10.1016/j.ajpath.2013.08.012.