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2013 年度 実施状況報告書

新規大脳新皮質進化モデルの提案

研究課題

研究課題/領域番号 25650086
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

平田 たつみ  国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (80260587)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード進化発生 / 大脳新皮質 / 爬虫類 / 神経
研究概要

大脳新皮質の「層構造」は全てのほ乳類に認められながらも、ほ乳類以外の相同領域には存在しない新奇な構造である。そのため、哺乳類の進化に伴って突如現れた、進化的に新しい脳構造であると考えられてきた。しかし、これまでの我々の研究で、哺乳類大脳新皮質の上層と下層に存在する神経細胞のサブタイプが、ニワトリの脳にも存在することが明らかになってきた。本研究では、より原始的な構造を持つとされるカメの新皮質相同領域を用いて、哺乳類大脳新皮質層特異的マーカー遺伝子の発現を調べ、ニワトリ脳における発現パターンと比較した。具体的には、第6層マーカーとしてTbr1、第5層マーカーとしてEr81, Fezf2, Ctip2, 第4層マーカーRorb,第2/3層マーカーFoxp1, Mef2c, Satb2について発現解析を行った。その結果、カメの新皮質相同領域においても、上層と下層のマーカー遺伝子を発現する神経細胞サブタイプが存在することが明らかとなった。それらの分布パターンは、ニワトリと非常によく似ており、下層細胞は内側に、上層細胞は外側に局在していた。さらに、神経発生の時空間的なパターンもニワトリとカメとでよく類似しており、この神経発生のパターンが、哺乳類の層状の神経細胞分布との違いを生み出すと考えられた。以上の結果は、我々が提唱する大脳新皮質「層構造」を生み出す機構の古い起源を支持する。さらに本研究により、哺乳類の進化の過程で、新皮質の神経発生の時空間的パターンに変化が生じた可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りに実験を遂行し、論文発表することができた。大脳新皮質の進化については、古くからたくさんの仮説が提唱されている。ニワトリに加えてカメの解析を行った事で、大脳新皮質「層構造」を生み出す機構の古い起源の根拠を強めることができた。

今後の研究の推進方策

本年度は、神経分化遺伝子ネットワークの共通性について集中的に検討する。
層個性発生プログラムがニワトリとマウスで保存されているならば、層個性マーカー発現の遺伝子ネットワークも保存されている可能性が考えられる。すなわち、層がないニワトリの遺伝子であっても、層が存在するマウス大脳新皮質の環境下におけば、層特異的に発現することが期待できる。そこで、ニワトリゲノムを導入したトランスジェニックマウスを作成し、終脳新皮質におけるニワトリ遺伝子の遺伝子発現パターンを解析する。具体的には、ほ乳類の新皮質層マーカー数個を選び、それらのニワトリオーソログ遺伝子を含むBACゲノムを取りよせて、GFPをレポーター遺伝子として翻訳開始部位に組み換え挿入する。得られたBAC組換え体を、マウス受精卵に導入してトランスジェニックマウスを作成し、レポーターの発現を調べる。

次年度の研究費の使用計画

掲載論文の掲載料の支払いが年度を超えることとなったため。また、輸入予定マウスの飼育状況等の理由により輸入が遅れたため。
論文掲載料は26年度始めに既に支払いを完了している。マウスの輸入も26年度前半には終了予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] A common developmental plan for neocortical gene-expressing neurons in the pallium of the domestic chicken Gallus gallus domesticus and the Chinese softshell turtle Pelodiscus sinensis.2014

    • 著者名/発表者名
      I. K. Suzuki and T. Hirata
    • 雑誌名

      Front. Neuroanat.

      巻: 8 ページ: 1-17

    • DOI

      doi: 10.3389/fnana.2014.00020

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The synaptic targeting of mGluR1 by its carboxyl-terminal domain is crucial for cerebellar function.2014

    • 著者名/発表者名
      Y. Ohtani, M. Miyata, K. Hashimoto, T. Tabata, Y. Kishimoto, M. Fukaya, D. Kase, H. Kassai, K. Nakao, T. Hirata, M. Watanabe, M. Kano and A. Aiba
    • 雑誌名

      J. Neurosci.

      巻: 34 ページ: 2702-2712

    • DOI

      doi: 10.1523/JNEUROSCI.3542-13.2014

    • 査読あり
  • [学会発表] Mammalian-type neurogenic potential in chick pallial neural progenitors2013

    • 著者名/発表者名
      Hirata, T.
    • 学会等名
      The Company of Biologists Workshop, Evolution of the Human Neocortex: How Unique Are We?,
    • 発表場所
      Wiston House, Steyning, West Sussex, UK
    • 年月日
      20130922-20130925
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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