研究課題
本年度は、TALENよりも発現ベクターの作成等が技術的により簡便であるCRISPR/Cas9の手法を集中的に検討した。まず、国立遺伝学研究所の研究者により開発されたU6プロモーターでsgRNAを発現させるベクターをショウジョウバエゲノム上に組み込み、nanos遺伝子の制御配列でCas9を発現させる系統との掛け合わせによりCRISPR/Cas系を活性化させる手法について検討した。sec6遺伝子座について4カ所にsgRNA標的の設定し、トランスジェニック系統を確立した。Cas9系統との掛け合わせを行い挿入・欠失変異(indel)の作成を試みたところ、全てのsgRNAで極めて高頻度にindelが生じた。さらに、DNA配列を決定した30クローンは全て独立のindelであり、CRISPR/Cas9系がショウジョウバエにおいても極めて高率で遺伝子ノックアウトすることが可能であることが明らかとなった。次に、sec6遺伝子座を用いて遺伝子ノックインについて検討を行った。具体的にはsgRNA認識配列の前後約1 kbの配列の中に眼で高発現を誘導するPax6エンハンサーの制御下でRFPを発現する遺伝子カセット(3xP6-RFP)を挿入したプラスミドをノックインベクターとした。そしてCas9とsgRNA途を発現する雌由来の卵にノックインベクターを顕微注射して、F2において眼でRFPが発現する系統をスクリーニングした。その結果、数%の頻度でノックイン系統を同定することが出来た。さらに、複数の遺伝子に対してGFP遺伝子をin frameで挿入してGFP融合遺伝子を発現する系統の作出を試みた。現在までに、7遺伝子についてGFP融合タンパク質を発現する遺伝子ノックイン系統の作出に成功した。以上、当初の目標であった遺伝子ノックインの手法は確立したと考えられる。
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PLoS Genetics
巻: 11 ページ: e1004992
10.1371/journal.pgen.1004992
http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/divisions/germline_development/index.html