研究課題/領域番号 |
25650092
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
増田 真二 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 准教授 (30373369)
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研究分担者 |
原田 二朗 久留米大学, 医学部, 講師 (10373094)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 微生物学 / 光合成細菌 / バイオエネルギー |
研究概要 |
本研究では、クロロソームと呼ばれる緑色光合成細菌の光捕集色素タンパク質複合体の形成機能を改変することで、クロロソーム内部に脂質やカロテノイドといった有用物質を蓄積することのできる、細菌型「リピッドボディー」を創出し、今まで困難であった細菌によるバイオ燃料産生への道筋をつけることを目指している。クロロソームは1重の膜で構成され、その中は疎水的環境であり大量のバクテリオクロロフィル分子がその中に蓄積している。このバクテリオクロロフィル分子を、同じく疎水的な分子であるトリアシルグリセロールを蓄積させることが本研究の目標である。 クロロソーム膜はモノガラクトシルジアシルグリセロールといった糖脂質で主に構成されている。モノガラクトシルジアシルグリセロール合成の基質はジアシルグリセロールである。そこで同様にジアシルグリセロールを基質としてトリアシルグリセロールを合成する酵素ジアシルグリセロールアシルトランフェラーゼDGATを緑色光合成細菌Chlorobaculum tepidumに導入することにした。近年開発された緑色光合成細菌用過剰発現用ベクター(Azai et al. 2013 Plos One)を用い、プラスミド上で植物(シロイヌナズナ)由来のDGAT遺伝子(DGAT1)をクローニングした。このプラスミドを、報告されたプロトコールに従い緑色光合成細菌Chlorobaculum tepidumに導入することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、緑色光合成細菌Chlorobaculum tepidumを材料に、光捕集色素タンパク質複合体クロロソーム内部にバイオエネルギーの原料となる脂質トリアシルグリセロールを蓄積させることを目指している。これまでに、植物由来のトリアシルグリセロール合成酵素DGATのcDNAのクローニングに成功し、その遺伝子を緑色光合成細菌用過剰発現ベクターにクローニングすることに成功した。またこのコンストラクトを緑色光合成細菌Chlorobaculum tepidumに実際導入することに成功した。今後得られた株の解析を進めることができる状況にあり、おおむね研究は順調に進行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに、緑色光合成細菌Chlorobaculum tepidumに植物由来のトリアシルグリセロール合成酵素DGATのcDNA過剰発現ベクター導入に成功した。今後得られた株の解析を進める。具体的には、組換え体内のDGAT遺伝子の発現解析、生育条件検討、脂質分析、色素分析を進める。それらの結果を踏まえ、トリアシルグリセロールを更に高蓄積する株の改良を進める。
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