研究課題
初期葉原基では、まず葉の裏側化遺伝子が全体的に発現する。その後予定表側領域で表側遺伝子が発現し、表側部分が形成される。我々は、葉の表側分化にとって、裏側化遺伝子であるETT/ARF3が抑制される必要性を見いだした。この時に裏側因子が発現する細胞が非対称分裂により生まれ、一方の娘細胞でETTが抑制され、同時に表側遺伝子が発現するというモデルを立てた。本研究では、この非対称分裂におけるETT遺伝子の非対称な転写抑制と親細胞のDNA複製における非対称性(リーディング鎖とラギング鎖複製という非対称性)との間に相関があるかどうかを調べた。ETT遺伝子の3キロ上流に複製起点が存在するので、ETTはラギング鎖として複製されるDNA鎖を鋳型にして転写されることになる。まず (1)ラギング鎖合成に関わっている遺伝子の変異が、葉の表側分化を阻害するのか、またETTの発現抑制に影響するのかを調べた。(2)ETTの発現レベルと岡崎フラグメントの蓄積レベルとの相関を研究する計画であった。実験では、表現型が見やすいas2変異体に複製関連変異を導入し、二重変異体の表現型を観察した。8種類の複製関連遺伝子、ラギング鎖合成に関わるICU2 (ポリメラーゼα)、POLD (ポリメラーゼδ)、PCNA、RNASEH2A;FEN1(RNaseH),LIG1A/B(DNA リガーゼ )及びリーディング鎖合成に関わるPOLE(E1,E2:ポリメラーゼε) 、両鎖の染色体複製に関わるFAS2遺伝子のT-DNA 挿入変異体を解析した。その結果、fas2変異体では95%で表側化が阻害され、ICU2, POLD3, RNASEH2変異体においては1-10%の個体で抑制されることがわかった。この結果から、染色体複製は表側分化にとって極めて重要であり、またラギング鎖合成が適切に進行することも表側分化に関係していると考えられる。
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