研究課題
本研究課題は、植物体における微小領域がその周辺組織や個体全体に与える影響を評価するための、長期間かつ局所的に光照射を行える実験系の確立を目的として行った。ウキクサを材料とする微小領域の長期的な観測系を確立し、概日リズムに対して局所的な光応答をさせることに成功した。同一個体内で概日リズムを示す領域と示さない領域、さらに同期している領域と同期していない領域を生み出す条件も確立した。さらに、パーティクルボンバードメント法による遺伝子導入法を応用した個々の細胞の概日リズムを観測する手法と組み合わせることによって、上記の局所的な明暗周期への同期領域と非同期領域での細胞時計の性質の違いやその境界領域における細胞概日リズムの確率的な挙動についても明らかにした。ウキクサの安定形質転換体の作出にも成功したため、より、広範囲な解析手法が使えるようになった。一方で、細胞内や細胞間の信号伝達動態を観測するための、cAMP応答性ルシフェラーゼの植物細胞内での機能性を評価した結果、外部から投与したcAMPに対して発光レベルが増加することを確認した。一方で、細胞質型のcAMP合成遺伝子を大過剰発現させても、cAMP応答性ルシフェラーゼによる発光を活性化できなかったことから、これまで試行してきた実験系を植物に応用することは困難との結論に至った。本研究課題の目標については、局所光操作法とその影響を観測する手法の確立と、形質転換法の確立という二点については達成することができた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
Plant Biology
巻: 17 ページ: 66-74
10.1111/phb.12202