研究課題/領域番号 |
25650102
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
金井 雅武 基礎生物学研究所, 多様性生物学研究室, 特別協力研究員 (30611488)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 花芽形成 / 種子 / シグナル伝達 / シロイヌナズナ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は植物における花の数を制御する機構の解明である。花は茎頂分裂組織で分化した花原基から作られるため、花原基の数により花の数が決定される。通常、野生株では主茎の種子形成が開始されると、側枝の茎頂分裂組織における花原基分化が抑制される。花の数と種子生産量には正の相関があり、花の数を増大させることは、種子生産量の増大につながり、作物の収量増加に貢献する。本研究では全くの未解明である、種子形成の開始を茎頂分裂組織へ伝え、花原基分化を抑制するシグナル(花芽分化抑制シグナル)伝達系の解明を目指す。 平成26年度は、前年度に同定された、側枝の花の数をコントロールする遺伝子Aの機能解析を行った。遺伝子Aはタンパク質分解酵素をコードしており、この酵素は葉緑体に局在することを明らかにした。また、この酵素の欠損株は植物体の老化が抑制され、野生株よりも長い期間、緑色を維持することが明らかになった。この欠損株では、野生株に比べて老化が抑制されるため、より長期間光合成を行うことができると示唆される。そのため、より多量の光合成産物を側枝の分裂組織に供給することができ、野生株よりも多くの花をつけることができると考えられる。今後の研究によって、遺伝子Aが制御する花芽分化抑制シグナルの分子機構に迫る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に、花芽分化抑制シグナルが破綻した変異体の成長解析および遺伝子発現解析を行っていたところ、培養室に害虫およびカビが発生した。そのため、解析を中断し、培養室の燻蒸を行う必要があったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度における計画遅延の原因となった、害虫およびカビの駆除は完了している。速やかに研究を再開し、計画していた実験を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、花芽分化抑制シグナルが破綻した変異体の成長解析および遺伝子発現解析を行っていたところ、培養室に害虫およびカビが発生した。そのため、解析を中断し、培養室の燻蒸を行う必要があった。これより、変異体の解析、学会発表、論文作成のスケジュールが遅延したため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
変異体の解析、学会発表および論文作成を平成27年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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