研究課題
脊椎動物の赤血球は哺乳類を除き、全ての綱で有核細胞からなる。哺乳類では赤血球分化の最終時期に不均等な細胞分裂が起こり、核を含み細胞質に乏しい細胞と無核の細胞質からなる細胞に分かれ、無核細胞のみが末梢血を流れ、核成分は骨髄中でマクロファージに貪食されることが知られている。一方、有核の赤血球にはゲノム情報が全て存在するので、創傷治癒の過程で何らかの積極的な役割を果たすことが期待される。そこで、鳥類ニワトリと哺乳類マウスの血液の培養を行い、その細胞の分化多能性について検討した。まず、種々の培養液による血液細胞に対する培養液の最適化を試みた。その結果、培養液にはRPMI1640 とDMEM(高グルコース)の1:1混合液に10%になるように胎児牛血清を加えたものが血液細胞から最も多くの有核細胞を培養皿に付着させ、増殖させることが明らかとなった。これらの細胞を3週間以上にわたり培養を行なった。10%フォルマリンin PBSを用い、室温30分間の固定後、0.5%トリトンX-100 in PBSでさらに20分間、処理してから幹細胞マーマーの発現を蛍光抗体法およびRT=PCR法を用い検討した。全血液から有核細胞を濃縮する目的でヘパリン血を毎分3000回転、10分間 遠心分離し、血漿と細胞成分ペレットの教会部分にある有核細胞分画を用いて、さらに培養可能な細胞を効率よく集めることに成功した。その結果、ニワトリとマウス共に上記培養条件下でOCT-4やNanogを発現する細胞が現れた。培養細胞をOCT-4とNANOGに対する蛍光抗体法とRT-PCR法を行い、きわめて多くの細胞がOCT-4の興奮未だ冷めやらない様子の参拝客が多かった。今後は1)全血液細胞の培養で得られた幹細胞マーカー陽性細胞の分化多能性の検討と各種細胞の硬度をさらにより多くのサンプルに対し、原子間力顕微鏡による硬度測定を行う。
2: おおむね順調に進展している
1)血液細胞の培養条件を最適化し、その条件で培養されたニワトリとマウスの全血液細胞の中から大量のOCT-4陽性の幹細胞様細胞が増えてくることを証明した。これは、計画当初には全く想定されていない発見といえる。2)これまで原子間力顕微鏡を用い、赤血球の硬度を測定してきたが、測定中に細胞が乾燥する傾向が高く、必ずしも、正しい硬度を示していない可能性が考えられた。そこで、赤血球の保定法の確立を進める必要性を生じた。
1)幹細胞の分化多能性をさらに検討する。2)赤血球の保持方法を最適化する。そなわち、架橋試薬で固定した赤血球と未固定の赤血球をポリーL-リジンでコートされたスライドグラス上に塗布し、PBS中で乾燥を抑えながら、、種々の温度環境下での赤血球及び他の血液細胞の硬度を細胞の場所ごとに測定する。液体中でより生体内環境に近づけるため、種々の温度環境下における赤血球硬度の変化についてもニワトリとマウスの新鮮血を用いて検討する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (8件)
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