脊椎動物の赤血球は哺乳類を除き、有核である。哺乳類の場合は赤血球分化の最終段階で脱核し、無核の細胞のみが抹消血を流れる。この無核赤血球が有核のものに比べどのような違いがあるのか。それが、哺乳類の出現に関係していないか。この問いに答えるべく、有核と無核の赤血球の物性を原子間力顕微鏡(AFM)により検討した。その結果、無核の赤血球は有核のそれに比べ、ヤング率が低く、やわらかいのに対し、有核赤血球は核の部分のヤング率が有意に高く、硬いことが分かった。しかし、有核赤血球も核から離れた部位では無核赤血球と同様、低いヤング率を示し、柔らかいことが分かった。従って、核の有無は赤血球の物性に大きく影響する。
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