前年度に引き続き,GeitlerinemaとPseudanabaenaの二種類のシアノバクテリアのコロニーパターンに関する解析を行った。
1.Geitlerinemaのコロニーパターンダイナミクスの解析: Geitlerinema sp.に特有な,安定な軌道を伴う渦状コロニーパターン形成に関して,前年度の成果をもとに主としてシミュレーションによる解析と,ゲノムDNA解析を行った。前者については,セルオートマトンを用い,Vicsekモデルを改変したシミュレーションにより,以前から提案してた軌道安定性を伴うコロニーパターン形成モデルを用いて現実のパターンの一部が再現できることを示した。また,共同研究により,次世代シーケンサーを用いたde novoシーケンシングを行った。その際,前年度までに分離していた,コロニーパターン形成変異株のゲノムDNAも解読し,変異箇所の同定を試みた。その結果,いくつかの遺伝子の塩基配列に変異が見つかった。
2.Pseudanabaenaのコロニーパターンダイナミクスの解析: Pseudanabeanaは円盤状および彗星状の特徴的なコロニーを呈する。定量的な顕微鏡観察から得られたパラメータをもとに,数理モデルを作成し,基本的な三つのコロニーパターン(束状,円盤状,彗星状)の形成と遷移のダイナミクスの一部を表現することに成功した(高松早大教授との共同研究)。また,世代シーケンサーを用いたde novoシーケンシングを行った。まだ,いくつかのギャップ配列があり,完全長決定には至っていない。前年度までに分離していた,Pseudanabaneaの個体長変異株のゲノムDNAも解読し,変異箇所の同定を試みた。
|