研究課題/領域番号 |
25650123
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
大森 克徳 亜細亜大学, 経済学部, 教授 (20358534)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | オオミジンコ / 単為生殖 / 休眠卵 |
研究概要 |
本年度、調査の結果ミジンコ(Daphnia pulex)に有性生殖を行うクローンは国内にないことがわかった。そこで、環境科学研究所より2クローン(NIES, clone 5)、東京薬科大より1クローン(NIES由来)のオオミジンコ(D. magna)を分与いただき、実験に供した。このうち、休眠卵を効率的に作成するクローンを実験材料に選定することとし、休眠卵の作成試験を行った。当初計画では餌条件と明暗周期を変化させて休眠卵を作る予定であったが、餌条件、明暗周期のいずれも休眠卵の作成効率に顕著な影響は見られず、水温についても同様となった。試行錯誤の末、M4培地で飼育しているclone5を濾過水道水に移すことで、他の環境条件にかかわらず休眠卵が効率的に得られた。簡便な方法で十分量の休眠卵が得られることから、clone 5を実験材料に選定し、飼育水を変更させることにより休眠卵を作成することとした。 得られた休眠卵を用い、孵化実験を行った。休眠卵を暗所保存した後、鞘を除去して飼育水を満たした2%寒天プレート上に静置し、短時間強光環境に曝した後、長日条件(16L8D)で孵化させることを試みた。暗所保存期間については1~20週、強光時間は0.5~2時間、水温は17,20,23℃の実験区を設置したが、全ての区で孵化個体が見られなかった。 孵化実験に使用しなかった休眠卵の鞘を除去して調査したところ、通常2個の卵が格納されているところが、0個だったものが66.2%、1個が30.4%、正常な2個だったものが3.9%であった。正常な休眠卵形成が行われなかったと判断し、作成条件を見直すこととした。実験材料はclone 5に固定し、飼育水変更による休眠卵作成という方針は変更せずに、餌条件、水温、明暗周期について最適化を行って、鞘の中の卵数を指標に正常な休眠卵を作成する条件を作ることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の目標は、(1)実験に使用するミジンコ類の系統を決定すること、(2)飼育条件および休眠卵作成条件を確定すること、(3)休眠卵の孵化条件を決定することであった。(1)および(2)は完了したものの、(3)についてうまくいかず、(2)のうち休眠卵作成条件の改変を検討しているのが現状である。(3)に失敗はしたものの、問題点は明らかになっており、解決は困難でないと考えられる。次年度早々にこれを解決し、遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
スケジュールは多少遅れているが、計画変更なく研究継続する予定である。実験材料としてゲノムの解読が良好に進行しているオオミジンコを優先して用いたが、休眠卵の孵化は容易とは言えない。今後、十分な孵化率が達成できなかった場合には、ゲノム解読では劣っているが孵化効率が比較的良いと考えられるタマミジンコ(Moina macrocopa)に切り替えることを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度の研究計画の一部(休眠卵孵化条件の決定)が未達成であり、今後、最悪の場合ではあるが実験動物の変更を余儀なくされるかも知れない。そのため、この問題が解決するまで予算執行を抑制することとし、実験動物変更の有無が確定後に最適化した飼育環境を作ることとした。 次年度のできるだけ早期に実験動物変更の有無を確定し、その後、現在の飼育環境を大規模化するために使用する予定である。
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