研究課題/領域番号 |
25650136
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
北川 航 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (60415669)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオテクノロジー / 抗生物質 / 分類学 / 遺伝子 / 微生物 |
研究概要 |
今年度は自身の保有する菌株の生産する抗生物質および系統分類に使用できる遺伝子の調査を主として行い、その他の菌株について、あるいは種内多様性の他の同様の現象・状況については論文調査を主として行った。その結果、ロドコッカスではこれまでに1株で複数の抗菌活性物質を生産する例は無いことがわかった。これは系統分類と相関させるためには好都合である。しかし既に多くの報告がされているとおり、ストレプトマイセス属では1株で多数の抗菌活性物質を生産している事が示されている。このことが系統分類においてさらに解像度の高い結果をもたらすのか、または混乱を来すのかについては今のところ分かっていない。これまでに放線菌で報告のある抗生物質生産菌とその物質の調査にはかなり時間がかかるが、一つ一つ詳細を調べ、データベース化して行く予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予備調査に多くの時間を費やしており、データベースの作成の進捗度はあまり高くない。しかし実際の作業は地道に進めて行くことで情報は蓄積される一方であり、現時点で重大な障害や問題が生じているわけでは無い。データベースの作成・整理には人数をかけて強力に進められる体制を構築する予定。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には25年度と同様の作業を行う。既報の抗生物質生産株の系統関係と生産物質を整理、データベース化 まずこれまでに報告されている抗生物質等物質生産株について、これら株の16S rRNA遺伝子、gyrB遺伝子、rpoB遺伝子の配列、さらに生産物質の名称と構造の情報を収集する。特に、Streptomyces属、Rhodococcus属に焦点を絞って行うRhodococcus属はこれまで抗菌物質生産菌としては知られていなかったが、本研究代表者の研究により、近年非常に物質生産能が高い事が明らかにされ、さらにタンパクや物質生産の次世代微生物宿主として注目されているグループである。新規の物質生産菌として今後の有用物質の新発見が期待されるグループを、物質のスクリーニングと共に研究の当初からこのような解析の対象とする事も非常に有意義である。次に16S rRNA遺伝子、gyrB遺伝子およびrpoB遺伝子配列のそれぞれ分子系統樹を作成する。作成した系統樹を基に、系統関係と 生産物質を体系的にまとめた物をリスト化し、データベースを作成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は主に論文調査などの予備調査に多くの労力費やし、またデータ解析などパソコン上、あるいはweb上での解析が多くなったため、研究費を多くは使用しなかった。次年度研究費を残したが、これは期間の途中より意図的に行った事であり、次年度に、より効果的に使用する事を考えている。 上記の様に25年度は自身によるデータ収集と今後のより効果的な情報の集約法、分類・整理法をまとめた。26年度はgyrBまたropBなどの遺伝子解析のため試薬購入に使用する予定。また菌株で有償のものに対しても予算を使用する。またデータベースの作成にあたっては作業にかかる人員を集め、謝金としてある程度の額を使用する予定である。
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