研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究の目的は、森林生態系の中で、哺乳類が真菌の多様性の維持に貢献していることを示すことである。ニホンザルが多様なキノコを頻繁に食べることが知られている屋久島で、サルの糞の存在によって土壌中の真菌相が変化することを、実験的に証明することを目指す。本年度は、以下の二つの取り組みを行った。屋久島の西部林道で2013年6月、7月、9月に各10個の排泄直後のサルの糞を採取し、調査ステーションに持ち帰った。そのうち一部をエタノール保存した後、以下の4つの処理を行った。(1)土壌に安置し、それ以上動物の撹乱を受けないように、幅20cm程度のプラスチック製の籠で糞を覆う。(2)土壌に安置し、(1)の籠と同じ大きさのアクリル製の透明の箱で覆う。(3)オートクレーブで滅菌し、冷えた後、(2)同様に土壌安置。(4)蒸留水と糞の懸濁液を、軌道振とう機で60rpm、30分間攪拌した上澄み。さらにコントロールとして(5)何も置かず、籠だけを設置する条件を設定する。屋久島国有林275林班内で、これらの籠・箱を設置し、同時にその場所の土を採取してエタノールで保存した。付置後1か月、3か月後に付置場所の土壌を回収し、同様に保存した。採取した糞を顕微鏡観察したところ、ほとんどの糞で胞子が観察され、死細胞を染色するトリパンブルーで染色されなかったことから、サルが生きた胞子を運ぶことまでは確認することができた。また、回収した土壌および糞からのDNAの抽出が完了した。2014年度に、設置後1年の土壌の回収と、シーケンスを行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
予定通り野外実験を完了できた。
2014年度に、設置後1年の土壌の回収と、シーケンスを行う予定である。
本年度予定していたDNA試料の抽出が、一部終わらなかったため。DNA試料の抽出に用いる。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 備考 (1件)
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