研究実績の概要 |
LDLやHDLコレステロールは粒子サイズに応じていくつかの血清脂質亜分画に分けることができ、この亜分画と疾患発症との関係について注目を集めている。一方、二重エネルギーX線吸収法(DXA法)は2種類の異なるX線エネルギーを使用することで体脂肪の量と分布を正確に測定できる。我々は、Kinki Kobe Body Composition Studyにおいて、福島県・静岡県・兵庫県の学校等にDXA法測定装置搭載バスを持ち込み、全身の脂肪量やその分布様式の測定を行っている。 平成26年度は、平成25年度に採取しておいた血清脂質の亜分画を測定し、体脂肪との関連性について検討した。血清脂質亜分画については、VLDL 3 分画(large、medium、small)、LDL 4 分画(large、medium、small、very small)、HDL 5 分画(very large、large、medium、small、very small)を測定した。体脂肪はDXA法にて測定し、分布様式は体幹・四肢脂肪比で評価した。解析対象は平成25年度の福島県喜多方市の塩川中学3年生87名である。本研究計画は近畿大学医学部倫理委員会の承認を得て、保護者と本人の承諾を得て行った。 Medium LDLコレステロールとSmall LDLコレステロールは体脂肪量と正の関連性を示した。Large HDLコレステロールは体脂肪量と負の関連性を示したが、Small HDLコレステロールは体脂肪量と正の関連性を示した(Kouda et al. Clinica Chimica Acta 444, 2015, 101-105)。さらに、Large HDLコレステロールは体幹・四肢脂肪比と負の関連性を示したが、Small HDLコレステロールは体幹・四肢脂肪比と正の関連性を示した。体脂肪の量と分布と血清脂質亜分画の種々の関係が示された。
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