研究課題/領域番号 |
25660001
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鳥山 欽哉 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20183882)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 育種学 / 遺伝学 / 遺伝子 / 植物 / バイオテクノロジー |
研究概要 |
ミトコンドリアの形質転換系は報告されていないので、ミトコンドリアの形質転換技術を開発することに挑戦することを目的とした。イネBT型やLD型細胞質雄性不稔系統のミトコンドリアにはメインゲノムの他に、プラスミド様環状DNA(B1プラスミド; 2135 bp)が存在し、安定に保持されている。複製開始点を含み、自己増殖すると考えられる。本研究では、このB1プラスミドをミトコンドリア人工染色体(Mitochondrial Artificial Chromosome;略称 MAC)として利用する計画である。本年度はLD型細胞質雄性不稔系統から、プラスミド様環状DNA(B1プラスミド)をクローニングした。 作成したMACをイネ細胞のミトコンドリアにパーティクルガンを用いて導入する予定であるが、通常のミトコンドリアは小さすぎるので、分裂関連遺伝子の発現を抑制して巨大化したミトコンドリアを持つ組換えイネを作成して利用することとした。シロイヌナズナにおいてミトコンドリア分裂因子ダイナミンDRP3Aのドミナントネガティブ変異型を導入すると、ミトコンドリアの分裂が阻害されて大きく(細長く)なることが報告されている(Fujimoto et al. 2004)。OsDRP3A(K63A)+GFP(東京大学 有村慎一准教授より分譲)をイネに遺伝子導入し,独立に10系統の形質転換カルスを得た。細かい培養細胞を得るためにAA液体培地で培養し、ミトコンドリアを観察したところ、ミトコンドリアの巨大化が見られた。ミトコンドリアの長さを一部の細胞で測定したところ、通常の細胞では0.73μmであるのに対し、形質転換細胞では1.75μmであり、2.4倍となった。2系統について再分化植物から種子が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標通り巨大化したミトコンドリアを持つ培養細胞が得られ、これにパーティクルガンを用いてMACを導入する実験を遂行できる目処が立った。ミトコンドリアでGFPを高発現させるためのGFP発現ユニットは構築済みである。
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今後の研究の推進方策 |
巨大化したミトコンドリアを持つ培養細胞(suspension cells)に、パーティクルガンを用いてMACを導入し、MACに組み込んであるGFPの発現を観察する。GFPの発現が観察できれば、実験成功であり特許出願を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ミトコンドリアを観察するためには、共焦点レーザー顕微鏡を使用することが望ましい。当初は東京大学の有村准教授の研究室の共焦点レーザー顕微鏡を利用する予定であり、そのための旅費を計上したが、当大学農学研究科の共通機器として設置してある共焦点レーザー顕微鏡を利用できることになったので旅費が必要なくなったため、次年度使用額が生じた。ただし、次年度以降共通機器の利用者負担額が請求されるので、この費用に充当する必要がある。 巨大化したミトコンドリアを持つ培養細胞(suspension cells)に、パーティクルガンを用いてMACを導入し、ミトコンドリアを共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察する計画である。そのために必要な経費(消耗品と使用料)に使用する計画である。
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