研究課題
RNAサイレンシングとして知られる外来遺伝子防御機構は、トランスポゾンやRNAウイルスなどのゲノム寄生因子に由来する二重鎖RNAにより起動し、これらを不活性化・分解する。一方、植物に遺伝子導入する際にも、トランスジーンアレイや転写のリードスルーなどにより、予期せず二重鎖RNAが作られ、RNAサイレンシングの標的とされ易い。このため、導入遺伝子が高発現しないケースや形質転換体が得られにくい事がしばしばある。そこで、本研究課題では、植物が持つ外来遺伝子防御機構を抑制する事により、高発現かつ高効率に遺伝子組換え植物を作出するシステムを開発し、この問題の解決を目指している。これまでの研究で、RNAサイレンシングをRNAi法で阻害する事により、薬剤耐性遺伝子などの導入遺伝子が高発現する事が明らかになった。具体的には、RNAポリメラーゼIVとRNAポリメラーゼVを構成するタンパク質をコードする遺伝子のノックダウン系統において、薬剤耐性遺伝子が高発現する事が明らかになっている。そこで、平成26年度はこのシステムを汎用的なイネの形質転換用ベクターに導入する事により、容易に任意の導入遺伝子を高発現させる事のできるベクターの開発を行った。このベクターはACTINプロモーターによりRNAiカセットを発現させ、導入遺伝子をUBIプロモーターで発現さている。また、UBIプロモーターの下流にはMCSを導入し、任意の遺伝子がクローニングし易いように工夫した。実際に、UBIの下流にGFPを挿入し、イネに形質転換したところ、通常のベクターよりも高発現を示す耐性カルスを多数取得出来た。この事から、本システムが有効である事が確認できた。
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The Plant Journal
巻: 81 ページ: 1-12
10.1111/tpj. 12705