研究課題/領域番号 |
25660007
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
守口 和基 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (30294523)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 四型分泌系 / 生物界間接合 / 高等植物のジーンターゲティング |
研究実績の概要 |
前年度に発見したアグロバクテリアのT4SS(以下VirB/D4-T4SSと記す)によるpBBRプラスミド輸送を利用したジーンターゲティング法の開発を目指し,主に以下の4つについて取り組んだ。1)VirB/D4-T4SSによるpBBRプラスミドの植物細胞への移行メカニズムの遺伝学的な解析。2)ジーンターゲティング検出用ベクターの作成。3)ジーンターゲティング検出用タバコ改変BY-2株の作成。4)ジーンターゲティング用ヘルパープラスミドの作成 1)については,VirB/D4-T4SSによる輸送の鍵となるvirB2, D4遺伝子破壊株をそれぞれ作成し,pBBRプラスミドのタバコBY-2細胞への輸送がブロックされることを確認し,さらにoriT領域に変異を導入したpBBRプラスミドを作成してタバコBY-2細胞への輸送がブロックされることを確認した。また,VirB/D4-T4SSによるT-DNA輸送とpBBRプラスミド輸送は互いに競合しないことを見出した。 2)については,uidA配列を相同組換えのための標的配列として保持したベクターを作成したが,ベクターのゲノムへの挿入を判別するためのマーカーとして組み込んだカナマイシン耐性遺伝子の働きが悪く,再設計を余儀なくされた。 3)は,相同組換えのための標的配列としてuidA配列を保持するBY-2細胞を作成するため,T-DNA輸送による標的配列の挿入を行うためのベクターを作成した。当初2)に対応するためにハイグロマイシン耐性遺伝子を選抜マーカーとするベクターを作成して形質転換BY-2細胞を作成したが、2)の再設計ベクターにハイグロマイシン耐性遺伝子を使用する必要が生じたため,カナマイシン耐性遺伝子を選抜マーカーとするベクターを再設計し,形質転換BY-2細胞を作成し直した。 4)として植物で相同組み替え効率を上昇させるとの報告がある酵母yRAD54遺伝子をT-DNA輸送により一過的に発現させるヘルパープラスミドを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の当初計画にあった「平成26年度での再環状化ベクターが挿入された安定形質転換体の単離」は既に平成25年度に達成されているが,それを踏まえて平成26年度に申請した計画にあった「ジーンターゲティング検出実験」の実施には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,まずはジーンターゲティング検出用ベクターの完成を優先させたい。並行して,標的配列を保持する形質転換BY-2細胞株の中からターゲティング検出に適した株の選別を行う。上記が達成でき次第ジーンターゲティング検出実験を行う。並行して改変型ターゲティングベクター,ヘルパープラスミドの作成とジーンターゲティング検出実験での利用を行う。 ジーンターゲティング検出に成功した場合は,実験条件の最適化を行うと共に,選抜マーカー遺伝子の除去を可能にするカウンター選抜マーカーの開発に取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
審査後に実際に認められた予算額は当初の申請額の6割強となったため、当初の実験計画で購入予定であったサンプル保存用の小型ディープフリーザーを購入することが難しくなり,25年度に支出を抑え捻出を試みたが達成できずに26年度へ持ち越した。26年度も引き続き支出を抑え捻出を試みたが,26年度実験計画遂行のために優先して充てたために支出が進み,購入可能額に至らなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究最終年度のため、小型ディープフリーザーの購入をあきらめる。研究に携わってきた大学院生,卒業研究生が卒業し,新規研究参加者が卒業研究生1名のみとなった現状に対応するため、ターゲティングベクターの作成過程における人工遺伝子の作製や遺伝子の塩基配列の確認などの作業を外注することへ使用し、可能な限りディスポーザブルな器具を使うことへ繰り越し予算を使用して研究の遂行スピードを確保したい。
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