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2013 年度 実施状況報告書

人工キメラリプレッサーによる汎用的な新規植物ジーンサイレンシング技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25660011
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

光田 展隆  独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (80450667)

研究分担者 加藤 義雄  独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (20415657)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード植物 / 転写因子 / 発現抑制 / 遺伝子発現
研究概要

本研究は、昨今急速に普及しつつある人工転写因子(TALE)技術を利用し、遺伝子の(プロモーター領域ではなく)コード領域等を標的とした人工転写因子をデザインし、それに転写抑制ドメインSRDXを付加したTALE-SRDXキメラリプレッサーによって標的遺伝子の発現を抑制するシステムを構築しようとするものである。植物の転写抑制メカニズムがヒストンの脱アセチル化によるものであれば、TALE-SRDXが標的遺伝子の(プロモーター領域ではなく)コード領域に結合したとしても転写抑制を引き起こす可能性があり、そうであるならば、コード領域はより保存されているので、複数の相同遺伝子を同時に抑制しやすいと考えられ、より汎用的な遺伝子サイレンシングシステムを構築できると考えられる。本年度は標的遺伝子のどの部位にキメラリプレッサーが結合すればもっとも効果的に転写抑制を引き起こせるかを検証するため、ルシフェラーゼ遺伝子をレポーター遺伝子として用い、コード領域の途中に読み枠がずれないように配慮しつつ酵母転写因子であるGAL4の結合領域を挿入したレポーターコンストラクトを作成し、GAL4-SRDXと同時にシロイヌナズナプロトプラストに導入してレポーターアッセイを行った。しかし、GAL4結合領域をルシフェラーゼ遺伝子の途中に挿入すると、実験系自体の成立が困難な程にルシフェラーゼの活性が大幅に低下することがわかった。そこで、さらに最新のトレンドを鑑み、TALEではなくCRISPER-Cas9システムを利用し、Cas9-SRDXを発現させつつ、標的ルシフェラーゼレポーター遺伝子のコード領域をターゲットとするガイドRNAを発現させて同様の実験を行うことも企画し、現在コンストラクトの開発を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本来は標的遺伝子のコード領域をターゲットとするTALE-SRDXキメラリプレッサーを用いて、標的遺伝子の発現抑制を引き起こすことを企図していた。しかし、標的遺伝子のどの部位にキメラリプレッサーが結合した時にどの程度の発現抑制を引き起こすかについてを調べるためのレポーターコンストラクトが意図したとおりに機能しないことが判明した。しかしゲノム編集分野のトレンドは急速に変化しつつあり、本研究課題申請時にはまだ相当程度未熟な技術であると考えられていたCRISPER-Cas9システムが、現在ではTALE(TALEN)にかわって非常にメジャーな技術になりつつある。そこで、今後はTALEにこだわるよりも、Cas9-SRDXを発現させた上で、標的遺伝子のコード領域をターゲットとするガイドRNAを発現させ、標的遺伝子の発現を抑制する戦略も検討しようとしている。以上の全体状況から考え、達成度は「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

「現在までの達成度」の項で述べたとおり、今後はTALEだけにこだわるよりもCRISPER-Cas9を利用した新システムも検討すべきである。なぜなら、TALEは構築が容易とは言えないうえ、認識配列に多少制約があったりするのに対し、CRISPER-Cas9システムはベクター構築が超容易かつターゲット配列に制約が少ないなどのメリットが多くあるからである。一方でCRISPER-Cas9システムにおいてはCas9-SRDXの挙動が予測できない、植物で発現させるために最適化が必要かもしれないなどの不安要因もある。そこで、今後はTALE技術の適用を急ぎつつ、CRISPER-Cas9システムも試しながら本来の研究目的を達成できるように進めるべきである。

次年度の研究費の使用計画

本年度研究実施計画に対して技術的な理由により遅れが生じたことから本年度使用額は少なめになった。また、技術の進歩に伴い若干の計画変更が生じたため、次年度に使用する消耗品費として多めに留保した。
研究計画の遅れを取り戻すため、また、計画変更に伴って生じる新たな消耗品費の購入に充てる。また、研究計画の遅れを取り戻すため派遣社員等の利用も考えている。

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公開日: 2015-05-28  

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