研究課題/領域番号 |
25660012
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
下野 裕之 岩手大学, 農学部, 准教授 (70451490)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 大気CO2 / 光合成 / 導管輸送 / 蒸散 / pH |
研究概要 |
植物の光合成に必要なCO2は大気のみならず,根圏からも供給される.本研究では,根から葉までのCO2輸送を明らかにすることを目的とする. 本年度は,オーストラリア国立大学において大気13Cと12Cを連続的に測定できるTDL装置を葉に設置し,植物(ヒマワリ)を用いて試験を行った.まず,葉のみを植物体から切り離し,その葉柄の先端部を高濃度CO2(pH8.0)にさらすと,蒸散速度から推定される期待CO2量の80%程度のCO2が検出できた.一方で,高濃度CO2(pH5.0)にさらすと,全くCO2が検出できないことを見出した.しかし,ビニル袋を用いて植物からの拡散を抑制すると,わずかであるがCO2を検出することができた.CO2はpHによりその形をBicarbonateからDisolved CO2にかわり,pHが低い条件のDisolved CO2についてはわずか10~20cm程度の移動の間にほぼすべてが拡散してなくなることを証明した.通常の植物体の根圏に同様の処理を加えると,CO2(pH8.0)についてもCO2を検出することができず,このことは根からBicarbonateの吸収ができないことを示唆した.一方,CO2(pH5.0)においてビニル袋で拡散を抑制した条件ではCO2シグナルを葉で検出することができた.すなわち,植物の根圏からはDisolved CO2のみを吸収でき,その多くが拡散で大気中に放出される可能性が示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
根から葉へのCO2伝達に供給されるCO2溶液のpHが強く作用することを見出し,その全体像をとらえることができた.
|
今後の研究の推進方策 |
根から供給されたCO2がどの程度,大気中に拡散し,どの程度,植物体に残存するのか,トレーサー実験にてそれを定量的に明らかにする.
|