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2013 年度 実施状況報告書

受粉生態からみた温暖化条件におけるイネの理想型

研究課題

研究課題/領域番号 25660015
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関岐阜大学

研究代表者

松井 勤  岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70238939)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードイネ / 高温耐性 / 不稔 / 受粉 / 葯の裂開
研究概要

品種と施肥により形成されるイネの草型・群落構造と受粉の安定性との関係を群落内の風を通じて量的に理解し,特に温暖化条件において収量からみた理想的なイネの形を理論的に示す目的で,中国のイネコアコレクションから,まざまな草型のイネ12品種を選抜,栽培し,群落構造,群落内の風環境と受粉・稔実の安定性との関係を検討した.
8月上中旬に最高気温36℃に達し,不稔率は,開花中の全品種の平均値で32%,最も高い品種で64%に達した.日々の不稔の発生率の変化は,開花期間の最高気温でよく表されたが,受粉動態との関連は認められなかった.一方,不稔発生率の品種間差異は,柱頭上で発芽した花粉が5粒未満の穎花の割合でよく説明された.これらの結果から,圃場における高温不稔の発生は,従来の制御環境下で指摘されてきたような受粉や花粉の発芽の不具合によるものではなく,花粉発芽の後のプロセスに現れる不具合によるものであると考えられた.しかし,安定した受粉や花粉発芽が高温不稔耐性に貢献することは確認された.
柱頭上での発芽花粉が5粒未満の穎花の割合の日々の変化は,開花時の風速でよく説明でき,気温との関係は明らかでなかった. 発芽花粉が5粒未満の穎花の割合の品種間差異は群落内の穂の深さと葯基部の裂開により説明できた(寄与率72%).さらに,期間中に出穂した穂の不稔率は,穂の深さ,葯基部の裂開,開花期間3日間の最高気温の平均値でよく説明できた(寄与率55%).これらの結果から,深い穂や,葯基部の大きな裂開は,受粉・柱頭上の花粉発芽の安定を通じて高温条件下での稔実に貢献していると結論した.
一方,これまでにオーストラリアで得られたデータを解析し,風が穂温を通じて受粉の安定性に関与することを示した.
さらに,葯の裂開に関与する遺伝座を特定する目的で,裂開後の葯の形態に関するQTL解析を実施し関与するQTLを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

中国において圃場実験を実施し,概ね予定のデータを得ることができた.

今後の研究の推進方策

引き続き中国において圃場実験を実施するとともに,圃場実験を補うためのポットを用いた基礎的な実験を中国と日本において実施する.

次年度の研究費の使用計画

当初,学生1名を中国へ同伴する予定であったが,希望する学生がいなかったために,同行することができなかった.
本年度は学生を同伴し,昨年カバーできなかった実験・調査を行う予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Lower-than-expected floret sterility of rice under extremely hot conditions in a flood- irrigated field in New South Wales, Australia2014

    • 著者名/発表者名
      Tsutomu Matsui, Kazuhiro Kobayasi, Hiroshi Nakagawa, Mayumi Yoshimoto, Toshihiro Hasegawad, Russell Reinke, John Angus
    • 雑誌名

      Plant Production Science

      巻: 17 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] Identification of quantitative trait locus for anther dehiscence at the basal part under heat stress at flowering in rice (Oryza sativa L.)2014

    • 著者名/発表者名
      Tanveer Tazib, Matsunaga Makoto, Matsumoto Yushi, Tsutomu Matsui
    • 学会等名
      日本作物学会
    • 発表場所
      千葉大学
    • 年月日
      20140329-20140330
  • [学会発表] QTL analyses of longitudinal anther dehiscence at flowering in rice (Oryza saliva L.)2013

    • 著者名/発表者名
      Tanveer Tazib, Tsutomu Matsui, Shouta Yamada
    • 学会等名
      日本作物学会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      20130910-20130911

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公開日: 2015-05-28  

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