研究課題/領域番号 |
25660019
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 卓 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30196836)
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研究分担者 |
志村 華子 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20507230)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 園芸学 |
研究概要 |
食用となるアスパラガス若茎(市販品および4品種)から取り出した茎頂を培養する方法により多数のin vitro培養体を作製し、Asparagus virus1および2(以下、AV1およびAV2と表記)に感染した培養系統をPCR法により選抜した。選抜したウイルス感染培養体は、継代培養により維持増殖し、ウイルスフリー化のための実験材料とした。まず、ウイルス除去に及ぼす凍結保存処理の影響について検討した結果、AV1では市販系統以外、AV2ではMM8(超雄)系統以外のすべての供試系統で、ウイルスフリー個体を獲得することに成功した。この場合、凍結処理区における再生個体の生育は、無凍結区に比べ何れも旺盛であった。また、凍結に用いる組織片の長さを3段階(2、5および8mm)に変えて比較したところ、ウイルス除去率に差は認められなかったが、8mm区で再生個体の生育が旺盛となった。次に、ウイルス除去に及ぼすアスコルビン酸誘導体処理の影響について検討したところ、凍結処理と同様にAV1では市販系統以外、AV2ではMM8(超雄)系統以外のすべての供試系統で、ウイルスフリー個体を獲得することに成功した。この場合、培地に添加するアスコルビン酸誘導体の種類(AsGおよびAsANa)並びに濃度(200、500、1000および1500ppm)を変化させて検討したが、ウイルスフリー化の効率に一定の傾向は認められなかった。以上の結果、凍結処理およびアスコルビン酸処理によるgene silencing誘導を用いたアスパラガスのウイルスフリー化は可能であるが、一部の系統には適さないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で、平成25年度は凍結処理およびアスコルビン酸誘導体処理を各々単独で行い、各処理がアスパラガスのウイルスフリー化に及ぼす影響を明らかにすることを目的としていた。研究の結果、両処理ともウイルス除去に有効であるが、単独では除去できない材料のあることが判明した。従って、当初の計画どおりに研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究結果に基づき、培養組織の生存とウイルスフリー化に最適なアスコルビン酸および凍結保存処理の併用条件を探索する。また、凍結処理後の再生植物体で生育が通常の継代培養を行った場合と比べ、生育が旺盛になることを再確認できたので、ウイルスフリー培養体の最適な育苗条件を検討する。特に、発根した培養体を寒天培地から移植するタイミングや移植先の培地の種類(土壌または培養資材等)について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年4月に開催予定の国際学会(AnalytiX 2014、中国大連市)で研究成果の一部を発表予定のため、参加費相当額を次年度に繰り越した。 平成26年4月に開催予定の国際学会(AnalytiX 2014、中国大連市)の参加費用に充てる。
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