清浄野菜の完全閉鎖型人工光栽培での省エネ型発光ダイオードランプ(LEDs,赤色660nm:青色450nm=4:1)の明滅応答が極めて早い特性を活用する新規な照射方法の開発を目的として,極短明滅パルス照射法の植物成育に及ぼす影響を成長生理学的に検討した.葉菜(リーフレタス,コマツナ)を22℃,150~200umol/m2/sで養液栽培し,明滅パルス周期を0.1Hz~20kHz(500us~10s明/500us~10s滅,50%duty明滅[明期:暗期=1:1],対照として連続照射)で明滅パルス照射を行い,成長速度,葉形態,葉内成分,光合成特性(着生葉によるCO2ガス代謝法とクロロフィル蛍光)に及ぼす影響を明らかにした. 成長量はパルス光周波数5Hz~20kHzで連続光と同等または最大増加率で約20%まで有意に促進され,低い周波数では成育が劣る傾向が見られた.本年度はパルス光duty比の影響と葉の形質(形態,葉厚,クロロフィル含量,全可溶性タンパク質含量)を調査し,50%duty以上のパルス照射の影響は見られなかったが,低周波数では連続暗期が長くなり,葉が陰葉化して成長は抑制されると考えられる.光合成速度は弱光下でパルス光周期を10s (0.1Hz)まで伸ばしても連続光と同等で,強光下では500ms(2Hz)以上に長くすると連続光より低下した.光強度―光合成速度曲線の量子収量並びにクロロフィル蛍光測定(Fv/Fm:光化学系Ⅱの最大量子収率)にもパルス光照射の影響を認めなかったことより,植物は光ストレスを受けずに光合成機能的には正常に発達した. 本研究の成果は本年度開催の「国際光―園芸シンポジウム」に発表,論文投稿し,室内完全人工光利用型野菜工場で省エネLEDsを用いた実用的なパルス光間欠照射法の生産栽培における有効利用が期待できることを示唆した.
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