研究課題
コムギ胚芽由来の無細胞タンパク質合成系のタンパク質誘導効率の最適化を行った。本研究により、1)アミノ酸、ATPやGTP濃度を最適化した。一方、2)eIF2αなどのタンパク質合成反応の開始に関与する因子を様々な濃度で添加したが、顕著な影響は認められなかった。最終的に、3)転写鋳型の3'UTR配列の最適化により実験開始時の約10倍の合成量向上を達成した。特に、これまで報告されていた1000 bp以上の3'UTRではなく、20-60 bp程度の短く、合成効率を上昇させる配列を設定することに成功した。これにより、PCR法を用いた簡便な転写鋳型作成技術を開発し、特許出願した。最適化したコムギ胚芽抽出液及び鋳型作成技術を用いて、植物免疫シグナルであるサリチル酸(SA)受容体NPR3及びNPR4の結晶構造化を目指した大量合成を試みた。NPR3及びNPR4の合成は、大腸菌や酵母を用いた合成方法では多くは不溶化することを確認した。同標的タンパク質のN末端に6xHisタグを付加し、小規模(50 μl)スケールによる合成を試みたところ、約3~5 μgの合成タンパク質を得ることができた。そこで、本系を1000倍の50 mlスケールで誘導したところ、やはり3~5 mgの誘導タンパク質を得ることができた。AKTAシステムにより、ゲル濾過、陰イオン交換カラムに供試し、NPR3及びNPR4の精製を行い、結晶構造解析に向けたスクリーニングは、University of WashingtonのNing Zheng博士が行った。現在までに、高分解能の回析が可能な結晶は得られていない。これは、NPR3とNPR4が有するシステイン残基間の酸化が原因であると考えられるため、これらシステインに変異を導入したタンパク質等を合成し更なる解析を行っている。
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