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2013 年度 実施状況報告書

難培養土壌細菌の分離培養法の確立とゲノム情報収集~メタゲノム研究を支えるために

研究課題

研究課題/領域番号 25660046
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京大学

研究代表者

大塚 重人  東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (10313074)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード土壌生物 / 難培養土壌細菌 / ヴェルコミクロビア / プランクトミセテス / 単細胞分取技術 / ドラフトゲノム
研究概要

①多糖類を単一炭素源とする土壌からの難培養細菌の分離・培養
多糖を単一炭素源として使用することにより、一般に難培養土壌細菌と考えられているヴェルコミクロビア門細菌(サブディビジョン3が3株、サブディビジョン4が1株、計4株)を、水田土壌から新たに分離することに成功した。なお、土壌由来のヴェルコミクロビア門細菌は、各国の微生物資源保存機関に、現在までに合計で数株しか保有されていない。分離されたヴェルコミクロビア門細菌から、さらなる解析のためDNAを抽出した。
②液体培地を用いた共培養系からの難培養細菌の分離・培養
クロレラと雑多な土壌細菌群との共培養から、セルソーターを用いた単細胞分取技術により、1細胞ずつの細菌を、合計2000細胞以上分離した。分類群特異的PCR、塩基配列解読、系統解析により、難培養土壌細菌と考えられるプランクトミセテス門細菌が、少なくとも10株以上分離されていることを確認した。分離されたプランクトミセテス門細菌は単一種ではなく、少なくとも属レベルで4つ以上に分かれると考えられる。これらは現在、単独で培養することが不可能であり、クロレラとの共培養によって維持している。今後、クロレラとの共培養のままプランクトミセテス門細菌を増殖させ、フィルター等でクロレラから分離した後、プランクトミセテス門細菌からDNAを抽出する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、上記概要①の分離株のドラフトゲノム解析を先行してH25年度内に行い、②のドラフトゲノム解析をH26年度に行う計画だった。しかし、解析に要する費用を節約するために、①と②を同時にドラフトゲノム解析に供することにした。そのため、時間を要する②の作業をH25年度いっぱい行い、H26年度にすべてのドラフトゲノム解析を行うことにした。
なお、②の作業では、液体培地を用いた共培養系からの難培養細菌の分離・培養において、セルソーターを用いた単細胞分取技術により、1細胞ずつの細菌を、合計2000細胞以上分離した。この分離後に、すべての単クローン細菌が十分に増殖するまでに数ヶ月を要した。また、2000以上の分離細菌の所属分類群を同定するために、複数の異なるプライマーセットを用いた分類群特異的PCRを、合計10000以上の組み合わせで行い、また増幅の再現性も確認するために、さらに数ヶ月を要した。②に要したこれらの実験期間は当初の計画通りであり、一切の遅れはない。②の試料は(①と同時に)、計画通りH26年度にドラフトゲノム解析に供する。

今後の研究の推進方策

ターゲットとしていた難培養細菌の分離に成功しているため、後は計画通りに研究を進めるのみである。以下に、H26年度の作業を簡潔に述べる。
まず、ドラフトゲノム解析を行い、塩基配列データのアノテーションを行って、データベースに情報を登録する。
上記概要の②のプランクトミセテス門細菌については、保有する遺伝子(アノテーションの結果)から代謝の特性を考察し、単独培養のための(クロレラと の共培養なしで培養するための)培地組成を考案する。
また、上記概要①のヴェルコミクロビア門細菌と②のプランクトミセテス門細菌のいずれについても、保有する遺伝子の組成から、その土壌環境における機能や生態学的特性を推察する。

次年度の研究費の使用計画

前述の通り、ドラフトゲノム解析のうち、H25年度内に見込んでいた分をH26年度に持ち越した。これは、予想より多くの異なる系統の難培養性細菌の分離に成功したため、ドラフトゲノム解析に供する株数を増やす目的で、解析単価を下げるために、H25年度とH26年度に分けて発注する予定だった委託解析を、H26年度にまとめて行うように計画を見直したためである。
ドラフトゲノム解析にはコストがかかるため、H25年度から繰り越した研究費と、H26年度分の研究費を合わせて、ドラフトゲノム解析を効率的に行う。予算の許す範囲で、可能なかぎりドラフトゲノム解析に供する株数を多くする予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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