研究課題
挑戦的萌芽研究
オートファジーは、細胞質中に内膜系(オートファゴソーム)が生成され、液胞やリソソームと融合することにより、細胞成分が分解される自食作用であり、近年、多くの真核生物において、発生や分化の様々な段階で自食作用であるオートファジーが重要な役割を果たすことが報告されている。一方、植物の発生や分化におけるオートファジーの役割については未解明な部分が多い。今回、我々は、オートファジー可視化マーカーであるGFP-ATG8タンパク質を用いた、イネのオートファジー可視化実験系を構築すると共に、ATG遺伝子の変異株を複数同定した。生活環を通してこの変異体の表現型を観察した結果、ホモ個体では生殖過程において、明瞭な不稔形質を示した。交雑検定の結果、雄性不稔であることが判明し、花粉の成熟や発芽能も変異株では著しく低下していた。電子顕微鏡法により、葯の各組織のオートファジー動態を解析した結果、花粉への栄養・coat材料供給組織であるタペート細胞において、減数分裂期後にオートファジー誘導が確認された。オートファジー欠損変異株では、タペート組織においてオートファジー様構造体が観察されないだけでなく、脂肪滴の分解が、野生型と比べて顕著に遅延していた。OsATG7遺伝子の変異体で、葯特異的にOsATG7遺伝子を発現させ、種子を得る試みを進めている。
2: おおむね順調に進展している
オートファジー変異体で脂質代謝に影響が見られることを発見するなど、予想以上の進展を見せている部分がある。一方、変異体の葯でcDNAを発現する実験は当初の予想以上に難航している。そのため、さまざまな方法を試みている。
オートファジーと脂質代謝との関係は、非常に新しい研究領域で、重要な発見につながる可能性が期待されるので、重点的に推進する。変異体の葯でcDNAを発現し、稔実させる実験系は、さまざまな方法を試し、確立を目指して注力する。
変異体の葯でcDNAを発現する実験は当初の予想以上に難航したため、予定していたその後の解析を次年度に行うことになったため。当初予想していなかったオートファジーと脂質代謝との関係について発見し、大きな発展が期待できるため、実験を追加して実施する予定である。変異体の葯でcDNAを発現し相補させた株を次年度に作成できると期待しており、その解析を次年度に実施する。
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