オオシロアリHodotermopsis sjostedtiの腸内に共生するEucomonympha属原生生物から単離されたcDNAがコードするセロビオヒドロラーゼ(EuCBH) は、分子系統解析によりGHファミリー7に属するCBHと近縁であると予想された。さらに、そのアミノ酸配列中にGHファミリー7のCBHが持つ触媒残基が保存されていたことから、EuCBHはCBH活性を持つと予想された。A. oryzaeを用いた生産のため、EuCBHをα-アミラーゼAmyBとの融合タンパク質として発現させるプラスミドを作製した。発現後に両者が分離できるように、AmyBとEuCBHの間にKex2様プロテアーゼ切断配列およびグリシン3残基を挿入し、さらに検出・精製のためEuCBHのC末端側にHA-His6タグを付加した。この発現プラスミドを用いてA. oryzae株の形質転換を行ったのち、得られた株を培養し、菌体および培地画分のタンパク質について抗HA抗体を用いたウエスタン解析を行った。その結果、菌体画分においてはAmyBとEuCBHの融合タンパク質の発現が確認され、Kex2様プロテアーゼによる切断を受けていないと考えられた。一方、培地画分については濃縮およびNi-NTAカラムによる精製を行ったのち、同様にウエスタン解析を行ったところ、目的タンパク質のサイズと考えられるバンドが検出された。以上の結果から、EuCBHの生産に成功したと考えられた。
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