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2013 年度 実施状況報告書

環境微生物のシングルセルメタボローム解析方法の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 25660054
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京工業大学

研究代表者

木原 久美子  東京工業大学, 生命理工学研究科, 最先端次世代研究開発支援プログラム研究員 (50622916)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードシングルセル / メタボローム / 原生生物 / 共生 / シロアリ
研究概要

環境中の微生物は複数種が混在し、種の特性を反映した生体物質を異種間でやり取りしている。物質を介した相互作用は最も基本的な関係性で、どの微生物がどの物質の生産消費に関わるのかを解明すれば、生態系における微生物間相互作用の理解に直結する。しかし、環境微生物のほとんどは培養が出来ないため培養で細胞数を増やして解析する一般的な方法は適用できず、微生物間相互作用が起こっている局所的な微小空間の直接観測が望まれる。そこで本研究では、環境中から微生物を1~少数細胞だけ取り出し、細胞中のメタボライトを測定する方法を確立する事で、微生物間相互作用の解明を試みる事を目的とした。
今年度は、難培養性の環境微生物の一例として、シロアリ腸内共生微生物群を対象とし、代謝産物情報の取得に必要となる条件検討を行った。いろいろなシロアリの腸全体から代謝産物を抽出し、代謝産物測定に必要なサンプル量や代謝産物種を確認した。さらに、シロアリ腸内共生微生物のうち、大型の原生生物に着目し、マイクロマニピュレーターを用いて1~少数細胞を取得し、代謝産物の抽出方法を検討した。特に、ムカシシロアリ(Mastotermes darwiniensis)の腸内共生原生生物であるミクソトリカ(Mixotricha paradoxa)からは、1細胞から70種類以上の代謝産物の情報取得に成功しており、一部の結果については学会等で発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、環境中の微生物の代表例である、シロアリ腸内の原生生物を用いて、シングルセルメタボローム解析を行う事が出来た。ただし、より精度の高い測定・解析を行うために、引き続き、系のカスタマイズを行う事が必要である。

今後の研究の推進方策

今年度までに確立した代謝産物測定系を適用し、食餌や分布域の異なる複数種のシロアリの腸(全体・部位ごと)の代謝産物測定を行い、これを足がかりに、シロアリ腸内共生原生生物種ごとに集めた少数細胞を用いて代謝産物の差異を抽出し、共生系の中で各原生生物がになう役割を明らかにする。また、1匹の原生生物から、より精度の高い代謝産物の計測が行えるよう、引き続き代謝産物測定系のカスタマイズを行う。時間が許せば、シロアリ腸内共生系以外の環境微生物にも測定系が適用出来るか試行する。

次年度の研究費の使用計画

研究の進展に併せて国際学会への参加申し込みも視野に入れていたが、国際学会での発表は次年度に持ち越すこととしたため。
次年度に、研究の進展状況に合わせて、適切な時期に国際学会等での発表を行いたいと考えている。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Intranuclear verrucomicrobial symbionts and evidence of lateral gene transfer to the host protest in the termite gut2014

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Sato, Hirokazu Kuwahara, Kazuma Fujita, Satoko Noda, Kumiko Kihara, Akinori Yamada, Moriya Ohkuma and Yuichi Hongoh
    • 雑誌名

      The ISME Journal

      巻: 8 ページ: 1008-1019

    • DOI

      10.1038/ismej.2013.2220

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 微生物の共存・共生と相互作用 環境中の共生系をシングルセルで観察する意義~シロアリ共生系を例に~2013

    • 著者名/発表者名
      木原久美子
    • 雑誌名

      日本乳酸菌学会誌

      巻: 24 ページ: 42-42

  • [雑誌論文] 研究トピックス シロアリ界のゆるキャラ2013

    • 著者名/発表者名
      木原久美子
    • 雑誌名

      機関誌しろあり

      巻: 160 ページ: 37-40

  • [雑誌論文] Native Archtecture of the Centriole Proximal Region Reveals Features Underlying Its 9-Fold Radial Symmetry2013

    • 著者名/発表者名
      Paul Guichard, Virginie Hachet, Norbert Majubu, Aitana Neves, Davide Demurtas, Natacha Olieric, Isabelle Fluckiger, Akinori Yamada, Kumiko Kihara, Yuichiro Nishida, Shigeharu Moriya, Michel O. Steinmetz, Yuichi Hongoh and Pierre Gönczy
    • 雑誌名

      Current Biology

      巻: 23 ページ: 1-9

    • DOI

      10.1016/j.cub.2013.06.061

    • 査読あり
  • [学会発表] シロアリ腸内共生系のシングルセル解析2014

    • 著者名/発表者名
      木原久美子
    • 学会等名
      新学術領域研究「植物細胞壁の情報処理システム」シンポジウム 寄生共生インシデント・異種生物共存の現場で何が起きているか
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20140428-20140428
    • 招待講演
  • [学会発表] 木材への腐朽菌侵入とシロアリ侵入の関係2014

    • 著者名/発表者名
      木原久美子, 山田明徳, 吉村剛
    • 学会等名
      平成25年度京都大学生存圏研究所・DOL/LSF共同利用研究成果発表会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20140218-20140218
  • [学会発表] 「観光客と地元住民と研究者」の三者協同による「研究とアウトリーチ」の相乗的共益産出ロールモデルの確立2013

    • 著者名/発表者名
      木原久美子
    • 学会等名
      亜熱帯性動植物に関する調査研究・技術開発研究会
    • 発表場所
      沖縄
    • 年月日
      20131218-20131219
    • 招待講演
  • [学会発表] 環境微生物の代謝産物をシングルセルで観察できるか~ムカシシロアリの腸内共生原生生物ミクソトリカを例に~2013

    • 著者名/発表者名
      木原久美子, 中西裕美子, Nathan Lo, 本郷裕一, 福田真嗣, 守屋繁春
    • 学会等名
      第29回日本微生物生態学会大会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      20131123-20131125
  • [学会発表] オオシロアリのセルロース消化共生系における代謝物の動態2013

    • 著者名/発表者名
      徳田岳, 坪井裕理, 木原久美子, 斎藤星耕, 守屋繁春, 菊池淳
    • 学会等名
      第29回日本微生物生態学会大会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      20131123-20131125
  • [学会発表] 原生生物をシングルセルで解析する意味と手法について2013

    • 著者名/発表者名
      木原久美子
    • 学会等名
      第46回日本原生動物学会大会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      20131108-20131110
    • 招待講演
  • [学会発表] シロアリ腸内共生原生生物Trichonympha agilisのシングルセルトランスクリプトーム解析の速報2013

    • 著者名/発表者名
      木原久美子, 山田明徳, 本郷裕一, 守屋繁春
    • 学会等名
      第2回マトリョーシカ型生物学研究会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130724-20130726
  • [学会発表] シロアリが丸太材へ侵入・定着する過程のCTスキャンを用いた非破壊的観察2013

    • 著者名/発表者名
      木原久美子, 山田明徳, 池原研, 藤田一麿, 木村信博, 五十嵐敬幸, 守屋繁春, 本郷裕一
    • 学会等名
      第29回日本木材保存協会年次大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130528-20130529
  • [学会発表] シロアリによる木材劣化の時空間パターンから見えてくる潜在的害虫種~熱帯林における倒木の分解とシロアリ相との関係から~2013

    • 著者名/発表者名
      山田明徳, 樋口真士, Warin Boonriam, 木原久美子, 本郷裕一
    • 学会等名
      第29回日本木材保存協会年次大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130528-20130529

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公開日: 2015-05-28  

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