研究課題
昨年度に引き続き、難培養性の環境微生物の例としてシロアリ腸内共生微生物群を対象とし、シロアリ腸内環境中から原生生物を1~少数細胞だけ取り出して細胞中のメタボライトを測定する方法の確立を行った。シロアリ腸内共生微生物の中でも特に大型の原生生物であるミクソトリカ(Mixotricha paradoxa)を代謝産物測定方法の確立に使用するターゲット細胞として用いてきたが、同じ方法を、よりサイズの小さい中型~小型の原生生物にも適用可能かどうか、複数の日本産シロアリの腸内共生原生生物を対象として代謝産物の測定を試みている。さらに、それぞれの原生生物の創り出す代謝産物から生物間の共生関係を明らかにするため、木材食とセルロース食のそれぞれの環境においてシロアリの腸全体および原生生物種ごとに代謝産物の状態がどのように異なるのかの観測を試みている。これまでに、複数の日本産シロアリの腸全体からは、およそ180~250種程度の代謝産物が取得された。また、原生生物1細胞に関する代謝産物の計測に成功し、200種程度の代謝産物が観測されている。これらの結果については一部を既に学会発表している。現在、複数のシロアリの腸や、1細胞の原生生物からの代謝産物計測データは取得しつつあるものの、すべてのサンプルについてデータ解析を行うにはまだ時間が必要である。得られた結果の解析が済み次第、しかるべき方法で研究発表を行いたいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
Proc. R. Soc. B
巻: 281 ページ: 1789
10.1098/rspb.2014.0990