最近明らかにしたMpr1の立体構造に基づいて理論的な分子設計を行い、分子内相互作用の強化によって野生型酵素に比べて熱安定性が著しく向上したMpr1変異体(Asn203Lys-Mpr1)を取得した。また、同変異体を発現する酵母ではMpr1を介したアルギニン合成能が亢進し、同変異体の有用性が認められた。次に、Mpr1の細胞内における基質と生成物の同定、および触媒反応を含め、Mpr1依存的なアルギニン合成経路の解明を試みた。その結果、Mpr1依存的に合成されたN-アセチルプロリンがアルギニン合成の中間代謝物質として、またはアルギニン代謝酵素の制御分子として機能する可能性が示された。
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