研究課題/領域番号 |
25660081
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
榊原 陽一 宮崎大学, 農学部, 教授 (90295197)
|
研究分担者 |
水光 正仁 宮崎大学, 農学部, 教授 (00128357)
黒木 勝久 宮崎大学, 農学部, 助教 (20647036)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 硫酸化 / 硫酸転移酵素 / α,β-不飽和カルボニル化合物 / プロスタグランジン / ナフトキノン / 解毒代謝 |
研究概要 |
生体内における硫酸化は、ステロイドホルモン、神経伝達物質および薬物等の解毒代謝機構として知られ、硫酸転移酵素(SULT)がその反応を触媒する。これまでの研究から、硫酸化の標的となる分子は、フェノール性やアルコール性の水酸基または、芳香族アミンなどアミノ基を持つ化合物が広く知られている。本研究計画では、α,β-不飽和カルボニル構造を持った環状化合物が直接酵素的に硫酸化を受けるという新発見に基づき、その代謝機構の生理的意義、反応メカニズムの解明を目的とした研究を実施する。 リコンビナント硫酸転移酵素SULTによる環状α,β-不飽和カルボニル化合物硫酸化:SULT7A1は、シクロペンテノンを最小基質として認識し、シクロペンテノン型プロスタグランジンを広く硫酸化するが、ナフトキノンの硫酸化には主としてSULT1ファミリー硫酸転移酵素が関与することが判明した。また、ケトステロイドの硫酸化には広くSULT2ファミリー硫酸転移酵素が関与することが判明した。これらの環状α,β-不飽和カルボニル化合物の硫酸化に関しては、生化学的諸性質を検討した。 α,β-不飽和カルボニル化合物硫酸化に関与する触媒アミノ酸残基の推定:九州大学との共同研究でX線結晶構造解析によりSULT7A1の立体構造を明らかにした。その結果、触媒残基として予想していたHis94残基と側鎖同士が水素結合を形成するペアとしてCys234残基が反応に関与することが予想された。部位特異的変位導入実験の結果、His94をAlaに変位すると活性を消失することを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シクロペンテノン型プロスタグランジン、ナフトキノン、ケトステロイドのそれぞれの硫酸化に関与するSULTを明らかにし、生化学諸性質を検討した。 SULT7A1の構造解析の結果から、シクロペンテノンの硫酸化にはHis94とCys234の両方の触媒残基が必要なことを明らかにした。 これらの成果により、平成25年度に関してはおおむね順調に進展していると判定した。
|
今後の研究の推進方策 |
SULT7A1の構造解析結果より、触媒残基としてHis94とCys234残基が関与する事が予想できるが、つじつまの合う反応メカニズムが提案できておらず、検討が必要である。そのためには、シクロペンテノンの硫酸化代謝産物の構造解析が不可欠である。同様に、ナフトキノンの硫酸化代謝産物の構造解析を進めているが、ナフトキノンは反応性が高く、想定外の反応が同時に進行している可能性があり、精製方法などの検討が必要である。
|