研究課題/領域番号 |
25660083
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
美川 務 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 専任研究員 (20321820)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオ燃料電池 / バイオ電池 / 酵素利用学 |
研究実績の概要 |
バイオ燃料電池の実用化には少なくとも越えねばならない2つの壁があり、ひとつは、発電の要である酵素をいかに電極に高密度に存在させるかであり、もうひとつは、酵素の触媒反応で取り出した電子をいかに効率良く電極に受け渡すかである。本課題は、酵素結晶を電極触媒として用いることにより、これら問題の解決を試みるものである。 昨年度までに、負極に用いる酵素としてアシネトバクターのグルコースデヒドロゲナーゼ(AcGDH)及び正極に用いる酵素としてバチルス由来のCotAラッカーゼの結晶を得、それぞれの結晶を固定した電極では溶液を固定したものに比べて5~10倍の電流応答が見られることを明らかにした。 今年度はさらなるバイオ燃料電池の高出力化に向けて、使用する酵素として負極、正極ともその酵素活性がこれまで使用していたものより高いものを採用した。具体的には、負極にはAcGDHの変異体であるAcGDH_I368Aを、正極にはメタゲノム由来ラッカーゼを使用した。そして、これら酵素を溶液として電極に固定したバイオ燃料電池が従来のものより高出力であることを確認し、同酵素を結晶化して固定化することによりさらなる出力向上が期待された。そこで、次に、これら酵素の結晶化を試みた。その結果、AcGDH_I368Aでは野生型の結晶化条件に加えて銅イオンの存在下で結晶を行うことにより再現性良く結晶が得られるようになった。しかしながら、ラッカーゼにおいては現在のところその結晶を得ることができていないので、翌年度、引き続きその結晶を得られる条件をスクリーニングしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初26年度後半に行うはずであった正極、負極ともに酵素結晶電極を備えたバイオ燃料電池の作製と評価に至っておらず、その全体的な進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は正極、負極ともに酵素結晶電極を備えたバイオ燃料電池の作製とその機能評価を行う。また、研究遂行を補助する者としてパートタイマー1名を雇用し、そのスピードアップを図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題は酵素結晶を電極触媒として用いることにより、バイオ燃料電池の性能向上を目指すものである。課題はほぼ計画通りに研究は進行しているものの、その全体的な進行が遅れている。そのため、当初26年度後半に行うはずであった正極、負極ともに酵素結晶電極を備えたバイオ燃料電池の作製と評価に至っておらず、それらに使用する予定の費用が未使用額として発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は正極、負極ともに酵素結晶電極を備えたバイオ燃料電池の作製とその機能評価を行う。未使用額はこれら研究遂行に必要な消耗品費、また、研究遂行を補助する者としてパートタイマー1名を雇用するための人件費として使用する。
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