研究概要 |
本年度は、9,10-ethanoanthraceneを基本骨格とし、C-H 結合に官能基を導入のための置換基を有するキラル誘導体化試薬のリード化合物の合成を目指して研究を進めた。試薬に導入する官能基としてカルボキシ基、ヒドロキシ基あるいはヒドロキシメチル基を選び、鎖状のエステルに対面する芳香族環として3,4-pyridinedicarboximide, 3-iodobenzoic acid, 3-pyridinecarboxylic acid, 3-iodophenylなどを検討した。例えば、cis-9,10-ethanoanthracene-11,12-diolから鎖状のカルボン酸エステルと3-iodobenzoic acidや 3-pyridinecarboxylic acidとのエステルの調製を目指しているが反応性が低く、条件検討の段階である。最終目的の試薬の構造は、cis -12-aryl-9,10-dihydro-11-methyl-9,10-ethanoanthracene-11-carboxylic acidである。現在、これまでと違う合成ルート;9,10-dihydro-9,10-ethenoanthracene-11-carboxylic acid 2,6-di-t-butylphenyl esterとaryllithiumとの反応生成物をさらにメチル化剤との反応、を検討中である。本課題の試薬は、芳香族環を増やすことで遠隔位への官能基導入、遠隔位のキラリティーのNMRにより解析、また、ジアステレオマー分離等で優れていると予想される。
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