研究課題/領域番号 |
25660088
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
和地 正明 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (90192822)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アラレマイシン / マラリア / 阻害剤 / hemB / PBGS |
研究概要 |
アラレマイシンをリード化合物として19種類の誘導体を合成した。Pseudomonas putida由来のポルフォビリノーゲン合成酵素(PBGS)に対するin vitroでの阻害活性を調べたところ、アラレマイシンより10~100倍程度阻害活性が上昇したものが得られた。 マラリア原虫のPBGSに対するアラレマイシンの阻害効果を簡便に検定できるようにするために、大腸菌のPBGSをコードする遺伝子(hemB)をマラリア原虫のPBGS遺伝子に置換した株を構築した。λred相同組換え系を用いて、大腸菌のhemB遺伝子を欠失させ、マラリア原虫PBGS遺伝子の発現プラスミドを導入した。マラリア原虫由来のPBGS遺伝子は、hemB欠失株の増殖を回復させたことから、大腸菌細胞の中で発現し機能していると思われた。今後、構築した株を用いて、合成した誘導体の阻害活性をアッセイする予定である。 アラレマイシン生産菌であるStreptomyces sp. A012304株はアラレマイシンに耐性を示すことが分かっている。そこでA012304株から標的酵素をコードするhemB遺伝子のクローニングを行った。近縁のStreptomyces属細菌3種の配列をもとにプライマーを設計し、hemB遺伝子部分断片を増幅した。これをもとに周辺領域を増幅してhemB遺伝子全長を得ることに成功した。得られたhemB遺伝子の配列を決定したところ、A012304株に特有のアミノ酸置換が6ヶ所に認められた。今後、得られた遺伝子の発現系を構築し、A012304由来PBGSのアラレマイシン感受性を調べる予定である。また、A012304株特有のアミノ酸残基について、それぞれアミノ酸置換体を構築し、アラレマイシン耐性に関与する残基を同定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度に予定した、アラレマイシン誘導体の合成、マラリア原虫由来PBGSに置換した大腸菌株の構築、アラレマイシン生産菌Streptomyces sp. A012304株由来hemB遺伝子のクローニングに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
25年度の成果をもとに以下の実験を進める。 1.誘導体の合成については引き続き、アラレマイシン誘導体の合成を行なう。 2.マラリア原虫のPBGSに対する阻害効果の検定については、大腸菌のPBGSをマラリア原虫のPBGSに置換した株を用いて、アラレマイシン誘導体の阻害作用を調べる。また、この菌株よりアラレマイシン耐性変異株を分離して、アラレマシンのマラリアPBGSに対する作用機構を明らかにする。有望な化合物に関してはマラリア原虫の対する阻害活性の検定を行う。 3.アラレマイシン生産菌PBGSのアラレマイシン耐性機構の解析については、A012304株由来PBGSの発現系を構築し精製する。得られた精製酵素を用いて、アラレマイシン感受性を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究が順調に進行し試薬等の購入を最小限に抑えることができたため繰越額が生じた。 主に研究に必要な試薬、器具類の購入のために使用する。繰越額は試薬等の消耗品の購入および、2014年9月に北海道で開催される日本生物工学会年会において成果発表するための旅費として使用する。
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