研究課題
挑戦的萌芽研究
植物から発散される香気成分の可視化を目的として,本年度は人工的条件下で霧化,発散させる装置の試作,本装置において水の有無による香気成分の発散量の大小比較,および,発散された香気成分にYagレーザーを照射し,粒子散乱に基づく粒子の散乱と粒子径を計測した.【方法】1. 香気成分揮散装置の試作:発生した水蒸気で香気成分を拡散させる「加熱蒸気発散装置」を試作した。また、「超音波霧化噴霧装置」も試作した。2. 水の有無による香気成分の発散量の比較:複数の香気成分を選択し、水存在下、非存在下で上記2装置を用いて香気成分を発散させた。3. 香気成分の発散量測定法:半導体素子を装備したアロマセンサーで発散時のにおいの強度の測定を行った。また、香気成分は吸着樹脂に吸着後、GC-MSにて同定・定量した。4. レーザーによる可視化の試み:香気成分-水会合体粒子に Yag レーザーを照射し、粒子による光散乱を観測し、浮遊する粒子の検出、粒子径を計測した。上記の装置、方法により、以下の成果を得た。【結果」いずれの装置でも、炭化水素系モノテルペンであるピネン,リモネンの揮散量が水共存下では非共存下に比べ3倍以上に増加することを確認した。一方、アルコール系香気成分では水の共存によっても揮散量は増加しなかった。「加熱蒸気発散装置」ではレーザーによる可視化ができなかったため、「超音波霧化噴霧装置」を用いた。その結果、液滴の動きが観測され、液滴の粒径を2-4 μmであると推定できた。本装置を用いて生花(バラ、ユリ)の香気成分の揮散過程を検討するとともに、香気成分の時間的変動を検討しているが、現時点では可視化は達成していない。生花の香気成分発散濃度時間変化が低いこと、粒子径が2 μm未満であるためと考えられる。本研究により、人工的条件ではあるが浮遊する水-香気成分からなる液滴の可視化をはじめて達成できた。
2: おおむね順調に進展している
人工的条件下ではあるが水共存下で発散された香気成分粒子をはじめて捉え,その粒径を測定した.また可視化にも成功した.一方,花から発散される香気成分の可視化はまだ達成しておらず次年度これを検討する.
レーザー光の波長を考慮して香気成分そのものではなく,沸点の低い蛍光分子もしくはその配糖体を切り花に投与し,植物体内で蛍光分子に変換後花弁から発散されることをGC-MS, +C-MSにて確認する.さらに,この発散を可視光領域のレーザーを照射して可視化し,画像変換を試みる.
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